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日経平均2万円突破は喜ぶに足らず
株式相場を見極める「真の着眼点」(下)

――広木隆・マネックス証券チーフ・ストラテジストに聞く

ダイヤモンド・オンライン編集部
2015年5月1日
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>>(上)より続く

ひろき・たかし
マネックス証券 チーフ・ストラテジスト。上智大学外国語学部卒業。国内銀行系投資顧問、外資系運用会社、ヘッジファンドなどでファンドマネージャーなどを歴任。長期かつ幅 広い運用の経験と知識に基づいた多角的な分析に強みがある。2010年より現職。青山学院大学大学院(MBA)非常勤講師。テレビ東京「ニュースモーニングサテ ライト」、ラジオNIKKEI等、メディアへの出演も多数。マネックス証券ウェブサイトにて、最新ストラテジーレポートが閲覧可能。著書に、『ストラテジストにさよならを 21世紀の株式投資論』(ゲーテビジネス新書)、『9割の負け組から脱出する投資の思考法』(ダイヤモンド社)、『勝てるROE投資術』(日本経済新聞出版社)など。

 「アベノミクス第一幕」の相場は外国人しか買っていませんが、それが一段落した相場のもみ合い時期に入ると、公的資金のお金を持った信託銀行による買い、事業法人による自社株買いといった日本人の新たな買い手が出てきます。日本版コーポレートガバナンスやスチュワードシップコードなどを含む、企業価値向上を重視する成長戦略第二弾が、このタイミングで出された影響もあります。もちろん外国人も買い続けてはいますが、その存在感は薄まりつつある。つまり、日本人が日本株に興味を持ち始めたことが、アベノミクスの最大の効果だったと言えます。

 以前私は外国人と意見交換したとき、「アベノミクスで日本は変わる、デフレ脱却だと言っても、肝心の日本人が日本株を買わないのなら、やはりアベノミクスの成功を信じていないのだろう」「アベノミクスが成功してインフレになると思っているなら、なぜ日本株を買わないんだ」と言われたことがあり、返答に窮したものです。その状況が今は変わってきている。

「売り癖」がついている個人が
売り切るとすごい買い圧力に?

 ただし、現在日本株を買っている主体は自社株買いや年金など、一部のプロが中心です。個人投資家はずっと売り越し基調ですが、これは「株価がちょっと上がったら売る」という売り癖がついているためであり、しばらくは仕方がない。十数年来の高値が訪れた今、それまで塩漬けだった株を売っている人も多いと思われます。これを売り切ると、今度はすごい買い圧力になるはずです。

 たとえば、野村アセットマネジメントが先頃設定し、野村證券が販売した「日本企業価値向上ファンド」に、あっという間に1000億円以上の資金が集まって募集停止になった例を見ても、長期投資を見据えた個人の資金が投信などを通じて市場へ流入していることがわかる。そうしたトレンドも強まりつつあるなか、足もとでは「全員参加型」の相場になっているわけです。株主重視の経営へと本気で変わり始めた日本企業を間近で見ている日本人が、株を買い始めた。そうした状況が牽引している相場なのです。

――日本人自身が日本株を買い始めたことは、いい傾向ですね。

 足もとでは「変革を買う相場」という印象が強いですね。これまで資本効率という発想がなかった重厚長大企業が本気で変わり始め、時価総額が大きい故に注目を浴びている一方、マザーズなどの新興市場に上場する若い企業は、実はあまり買われていません。市場に出てきたばかりで「変化」に乏しいからです。相場全体で見れば、振り子の針が振り切れて勢いよく戻り始めたことは確か。ダメだった期間が長いほど、振り戻しの余地は大きいことが予想されるため、ポテンシャルのある相場だと思います。

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