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「折れた日本の翼」は蘇るか?
新生JALを待ち受ける“茨の道”に潜むもの

真壁昭夫 [信州大学教授]
【第110回】 2010年1月26日
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 1月19日、経営難に陥っていた日本航空(JAL)は、自力再建を断念して、子会社2社と共に東京地裁に会社更生法の申請を行なった。これによって、名実ともに「日本の翼」が折れた。

 グループの負債総額は2兆3000億円と、金融機関を除く一般企業としては過去最大の事業破綻となる。それに伴い、政府と日本政策投資銀行は総額9000億円の資金枠を準備し、3年をメドに事業再生を目指すことになる。

 日航破綻の原因については様々な見方があるものの、半官半民として設立された経緯もあり、経営陣や従業員に「何かあれば国が助けてくれる」という“親方日の丸”の甘えがあったことは間違いない。

 また、原油価格の高騰による燃料費の上昇、インフルエンザの流行、景気低迷による需要の下落など、ここ数年は外部環境の悪化に悩まされ続けた影響も大きい。さらに、政府の場当たり的な航空行政や政治的な圧力によって、不採算路線の整理ができなかったことも要因の1つと考えられる。

 今後は、政府や金融機関の支援を受けながら、更正会社として再生を図ることになる。果たして日航は、蘇ることができるのか? 考えを巡らせると、一筋縄ではいかない可能性が高そうだ。今回は、同社の先行きについて論じてみよう。

 現在、日航の再生については、専門家の間でも見方が分かれているようだ。

 慎重派は、「イメージの悪化による顧客離れで、業績回復の時期は不透明」と指摘する。一方楽観派は、「背負っていた有利子負債などが一度に取り除かれることもあり、景気などの外部環境が改善すれば、早期の黒字化は意外に可能」と見ている。

 問題は、新生日航がどのようなビジネスモデルを目指すかだ。世界の航空業界を見ると、すでに従来の普通運賃型の航空会社から、低運賃型のLCC(ローコスト・キャリア)へと中心が移っている。

 新生日航が狙うビジネスモデルは、「栄光のフラッグキャリア」ではなく、LCC型になることも考えられる。むしろ、そこにこそ再生への道があるかもしれない。厳しい道のりを覚悟すべきだろう。

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真壁昭夫 [信州大学教授]

1953年神奈川県生まれ。一橋大学商学部卒業後、第一勧業銀行(現みずほ銀行)入行。ロンドン大学経営学部大学院卒業後、メリル・リンチ社ニューヨーク本社出向。みずほ総研主席研究員などを経て現職に。著書は「下流にならない生き方」「行動ファイナンスの実践」「はじめての金融工学」など多数。


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