内定後に「企業選び」に迷う学生たち

  実際に、5月に入ってから、内定をもらいながらも我究館に入館してくる学生がいる。その人に「内定もらっているのに、なぜその企業にいかないのか?」と聞くと、「他にもっと良い企業があるかもしれないので、もう少し見てみたい」と曖昧な返事が返ってくる。

「どんな企業だったら行きたいのか?」と聞くと「その決め手が分からなくなってしまったので、我究館に来ました」(私立大学文系4年生)と言う。

「企業選びの軸を見つける」という、いつもであれば就活初期に起こりがちな悩みに「内定後」に陥ってしまい、「このままでいいのか」という危機感を覚えたというわけだ。数年前、就職氷河期と言われ、「ヤリタイコトが明確にあるのに、どこにも採用されない」と多くの学生が当校の門を叩いてきた頃とは大違いである。

  これが「就職活動を終われない学生の増加」を招いている一連の流れだ。

  インターンシップや選考を長期にわたり忙しく受けている間に、「本当は何をしたいのか」「本当はどんな企業に行きたいのか」「本当はどんな仕事に就きたいと思っているのか」等、自分と向き合う時間を失ってしまっている。

  一見贅沢な悩みに思えるかもしれないが、実は深刻な問題でもある。
  このまま漫然と就活を続けていても、答えは見つからない。「決めきれない」まま就活を続け、迷いながらも「なんとなく決めた」企業に入社する学生は増えるだろう。

  いざ来年就職をしたものの、もしも「こんなはずじゃなかった」と辞めてしまえば、学生にとっても、採用した企業にとっても大きな痛手となる。