経営 X 人事

ストレスには、自分にとって嫌なもの、自分の心身の健康を害する存在、といったマイナスのイメージがあるが、それは必ずしも正しくない。逆にストレスは、人を成長させる存在でもある。ストレスチェック制度の施行を前に、まずストレスとは何かを知っておこう。連載第2回はストレスについての重要な3原則について解説する。

経営陣が抱く
ストレスチェック制度導入の懸念

 ストレスチェック制度と聞いたときに、多くの経営的な立場にある方々は「そんなことをやったって、職場のストレスなんて減らせないのだから意味が無い」、「国はまた企業のことを考えない厄介な制度を押しつけてきた」といった感想を抱くのではないでしょうか?

 そのような方々の心情を察するに、「自分はこれまでの職業生活の中で過重労働はじめ多くのストレスを経験したが、心の病気になんてならなかった」というサバイバーとしての理屈と、「職場のストレスを低減させることは、残業時間の削減や有給休暇の取得促進などと相まって職場における生産性を低下させるのではないか」という経営に悪影響を及ぼす懸念が根底にあるのではないかと推察されます。

 実際に、多くの経営的な立場にある方々がその地位に就くまでには過重労働を繰り返し、いくつもの修羅場を自分の努力と忍耐力で切り抜けてきたことは事実だと思います。

 また、お隣の韓国の年間労働時間(2193時間、OECD調査、2010年)と比較すれば日本は460時間も少なく、OECD加盟国平均さえも下回る労働時間をさらに削減せよと言われれば、国際競争力を失うのではないかと考えるのも、至極当然の考え方のように思います。

そもそも
「ストレスとは一体何なのか?」

 そこで、ストレスチェック制度を企業内でより有効に活用していただくためにも、ストレスに対する誤解を解いておく必要があるように感じています。

 ここでは「ストレスとは一体何なのか?」、「ストレスは、できるだけ少ない方が良いのか?」といった素朴な問いに答えるかたちで、日頃何気なく使っている「ストレス」という言葉について考えてみたいと思います。

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吉野聡

1978年生まれ。筑波大学大学院人間総合科学研究科修了。筑波大学医学医療系助教を経て、2015年新宿ゲートウェイクリニックを開設。「職場復帰を成功させるための30日ノート(現代けんこう出版)ほか著書多数。


早期発見、未然防止 ストレスチェックのすべて

今年12月から、従業員50人以上の事業場を対象に1年に1回の「ストレスチェック」が義務化される。本連載では、本当に会社のためになるストレスチェックの実施について、精神科産業医である新宿ゲートウェイクリニックの吉野聡院長が解説する。

 

「早期発見、未然防止 ストレスチェックのすべて」

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