
地方再生の必要性が叫ばれる中、全国の自治体、地場産業界では、観光客誘致や物産の売り込みなどに懸命だ。そんな取り組みにおいて、今、注目を集めているのが、「萌えキャラ」。「萌えキャラ」とは、東京・秋葉原に集まる若者=アキバ系が好むアニメ風キャラクターのこと。一見、似合わなさそうな分野にも進出し、新たな観光客、購買層の取り込みに一役買っている。
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| 了法寺の「萌え看板」。現時点では「あくまで看板のキャラクター」ということで、キャラクターと出会えるのは、看板と携帯サイトのみ。関連グッズの販売などは行っていない。 |
たとえば、東京・八王子にある日蓮宗の寺院「松栄山了法寺」。寺の入り口の看板には、境内にまつった神仏などをイメージした「萌えキャラ」たちが踊る。弁財天をイメージした「とろ弁天」、鬼子母神をイメージした「まま」などが描かれた「萌え看板」によって、今まで寺院には興味が薄かった若い男性の参拝も増えつつあるという。同寺の携帯サイトでは、キャラクターを使って神仏の概要や寺院の来歴が説明され、壁紙のダウンロードなども。日本の原風景のひとつである寺院との意外な組み合わせが話題を呼んでいる。
同寺のケースでも分かるように「萌えキャラ」を採用することのメリットは、従来の支持層とは異なる層を取り込むことができることだ。地元住民に支えられてきた地方交通機関も、遠方からの観光客を誘致するために「萌えキャラ」を活用している。北海道北部の日本海沿岸で路線バスを運行している沿岸バス(株)は、乗り放題切符に制服やメイド姿のキャラクターをあしらった「萌えっ子フリー切符」を発売。沿線の宿泊施設、温泉施設などの協力のもと、さまざまな特典を付け、観光目的の乗客の増大を狙う。
「地域活性×萌えキャラ」モデルのもうひとつのメリットは、インターネットやモバイルといった情報メディアを有効に活用できること。その一例が、広島県の建設会社が発売した「女子高生キムチ」。地元出身の漫画家が描いたパッケージのイラストがWebサイトで話題を呼び、発売2ヵ月で1万個以上の売上を達成した。
こうしたアキバ系を意識した地域活性の成功モデルとなったのが、埼玉県鷲宮町のアニメを活用した町おこしだ。
アニメ「らき☆すた」が2007年にテレビ放映された際、登場人物とともに描かれていた神社が同地の鷲宮神社であったことから、ネットなどを通じてファンが集まり始めたことに地元商工会が着目。作品の著作権所有者である角川書店と連携を図り、同年には鷲宮神社で声優を招いたイベントを開催、3500人のファンが訪れた。商工会が地元商店に呼びかけ、ファンの声を活かした商品を開発するなど、本格的な町おこしへと発展している。
世に広く知られた観光名所ではない鷲宮神社に人が集まったことから分かるように、「萌えキャラ」を支持する層は、自分たちのアンテナに響いた場所やモノであれば、従来の評判に捉われず、訪れたり購入したりという傾向がある。今までこれといった観光名所や名産品を持たなかった地域にとっては、きわめて期待を持てる潜在的顧客だといえるだろう。こうした層を意識した「地域活性×萌えキャラ」ブーム、しばらく続きそうだ。
(梅村 千恵)
