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シェア日本一!のニッチな企業

卓越した“貼る技術”で世界シェア70%
淀川メデック

森野 進 [経済ジャーナリスト]
【第8回】 2009年8月3日
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ガラスの下からやんわりと貼る

 液晶ディスプレー(LCD)製造ライン用の偏光板貼り付け機で70%の世界シェアを誇る“小さなガリバー企業”。両面同時貼りや回転テーブル型など独創性豊かな機種開発力は、ライバルがひしめく先端産業のなかにあっても他の追随を許さない。

 淀川メデックは、LCDの重要部材の一つである偏光板をガラスに貼る、偏光板貼り付け機で世界のトップシェアを握るメーカー。社員数75人。一人当たりの売上高が1億円を超す超優良企業だ。その存在があまり知られていないのは、機械そのものが門外不出であることと、国内よりも台湾、韓国、中国などでのシェアが高いためである。

 会社設立は1973年、当初はメデックという社名で、現像前のフィルムをつなげて作業工程を省力化するフィルムスプライザという機械や、官製お年玉付き年賀はがきに写真を貼り合わせる自動機など、主にDPE(写真フィルム現像所)向けの省力化機械を製造していた。今日のお家芸である“モノを貼る技術”はこの時代に培われたものだ。

 偏光板貼り付け機を最初に手がけたのは85年。市販の貼り付け機を使用していたLCDメーカーが製品歩留まりの向上と省スペース化が図れる新たな貼り付け機の開発を同社に依頼したのがきっかけだ。LCDがようやく市場に出回り始めた頃のことで、「正直な話、社内には偏光板の存在すら知る者はいなかった」と同社の木村滋常務は振り返る。

 しかし、木村氏らは、既存の機械の構造をひと目見ただけで、問題点を突き止めた。ほとんどの機械が、糊の付いた偏光板とガラス板を横に並べて置き、ガラスに貼るときには偏光板のセパレータをはがしてガラス面の上からかぶせている。だが、糊の付いた面を逆さまにするこの荒々しい方法では、ムラが出て歩留まりが低下する。また、偏光板とガラス板を並べると横にスペースをとってしまう。

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森野進 [経済ジャーナリスト]

日刊工業新聞社の記者、雑誌編集者を経て独立。中堅・中小企業の取材をライフワークとして活躍。著書に『女性発明家の着想に学ぶ』(発明協会)、『未公開ITベンチャーの躍動』(共著・オーム社)、『明日のものづくり』(共著・日経BP社)などがある。


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日本経済を支えているのは、やはり「ものづくり」の底力。当連載では、そのなかでも「ニッチな市場」にスポットを当て、そのシェアNo.1企業をルポしていく。そこには、地味だけれど驚くべき技術力があった。

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