若手社員の育成はどこの企業にとっても悩みの課題である。多くの金融機関は長いあいだ採用を抑制してきたが、過去数年、急激に新卒採用を増やした。このため、久びさに入ってきた新人の教育に戸惑っている話はよく聞かれる。

 金融市場の関係者に、内田和俊氏の興味深い近著『俺様社員をどうマネジメントするか』の要点を伝えると、共感する反応が多く返ってくる。同書では「自分はできる」と思い込んでいる社員への対処方法が解説されている。

 筆者が勤める会社ではあまり見かけないのだが、企業名にブランド性のある大手企業になると、一流大学卒、TOEIC900点台、MBA取得などを背景にしたプライドが高い新入社員がいる。

 同書によれば、彼らは地味な下働きを極端に嫌い、やりたくない仕事には目もくれない、「おいしいとこ取り」ばかりしようとするという。

 専門知識を有している若手を生かせない企業の問題もある。しかし、自分に必要だと思い込んでいるキャリアパスのイメージが狭く、かつ柔軟性に欠けている若手は確かにいるように思われる。