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アマデウスたち

鈴木大介
武満徹が見出した歌う心の深さ

週刊ダイヤモンド編集部
【第80回】 2009年5月29日
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鈴木大介
写真 加藤昌人

 ギターをこよなく愛した日本音楽界の巨星、武満徹が最後に見出した逸材である。

 ザルツブルク・モーツァルテウム音楽院で日本人として初めて、名手エリオット・フィスクから指導を受けた鈴木大介は、帰国直前、静まり返った夜の教会でギターを奏で、自主音源として持ち帰った。たまたまそれを耳にした闘病中の武満は、CD化が決まっていた「武満徹 ギター作品集成」の奏者として、この25歳の無名のギタリストを指名したのである。

 武満はアルバムの完成を待つことなく、この世を去った。だが、鈴木の“歌う”ギターはその遺志によく応え、「技術の確かさと、歌う心の深さが、それぞれの時代の武満徹の音楽に、新しい息吹を与えている」と日本を代表する作曲家の一人、細川俊夫はライナーノートで讃えた。

 武満がクラシックから映画音楽やポップソングまで幅広くその才能を発揮したように、鈴木の活動もジャズやボサノバなどジャンルを超えた広がりを見せながら、独自の作品解釈を加えることで、聴く者に新鮮な驚きを与え続ける。たとえば、スペイン音楽を意図的にゆっくりと演奏することで、そこに色濃く反映されるアラブ民族音楽の影響を悟らせるといったように。

 多様な音楽を取り込みながらも、「僕の音楽の中心には常に武満さんがいる」という。時代を超えた作曲家と演奏者の確かなつながりを、心を揺さぶる音色に確信する。

(ジャーナリスト 田原 寛)


鈴木大介(Daisuke Suzuki)●ギタリスト 1970年生まれ。早稲田大学卒業。92年マリア・カナルス国際音楽コンクール・ギター部門第3位、93年イタリアのアレッサンドリア市国際ギターコンクール優勝。近作に「キネマ楽園2」「アルベニス作品集」など。

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