高い技術力を持つ日本の住宅メーカーだが、海外事業は苦戦気味。ところが、住友林業は大胆なM&Aで海外で約3800棟もの住宅を販売し、さらに拡大基調にある。(「週刊ダイヤモンド」編集部 岡田 悟)

 人口や世帯数の減少により、先細りが懸念される国内住宅市場。大手住宅メーカーは軒並み、成長の糧を海外市場に求めようとしているが、難航しているケースが少なくない。

 例えば、国内戸建て住宅シェア1位の積水ハウス。国際事業の売上高は798億円(2015年1月期)であり、国内戸建ての売上高4270億円の18%強を占める。とはいえ、売り上げの多くはマンションや宅地開発などの不動産事業であり、本業である戸建て住宅はほんの一部だ。

 オーストラリア(豪州)では、自社の木造住宅ブランド「シャーウッド」を12年から展開しているが、これを含めた戸建て住宅の販売戸数はまだわずかである。

 高い技術力を持つ日本の住宅メーカーだが、気候や生活習慣の違いから、海外では必ずしもそうした高いスペックが必要とされないケースが多い。勝手の違う市場に自社工場を建てて進出するリスクは大きく、海外展開はまだまだ小規模にとどまる。

 ところが、積水と同じく高品質な戸建て住宅を国内で販売している住友林業の海外事業は、大きく拡大しているのだ。