予想以上に高かった1~3月期の成長率
名目年率換算では7.7%の増

 内閣府が5月20日に発表した2015年1~3月期の国内総生産(GDP)速報値によると、実質GDPの成長率は、前期比で0.6%増、年率換算では2.4%増となった。

 2四半期連続のプラス成長であり、しかも率も拡大した(前期は、年率換算で1.1%増)。民間機関の予想が1.6%であるのをも上回った。こうしたことを株式市場は歓迎し、株価は上昇した。

 なお、名目GDPの成長率は、前期比1.9%増、年率換算では7.7%増だった。これも2四半期連続のプラスだ。年率換算の伸び率は、11年7~9月期以来、14四半期ぶりの高水準だった。

 このように名目GDP成長率が実質GDP成長率を大きく上回ったのは、原油価格が低下したためだ。輸入は、GDPの計算上控除項目になるため、原油安による輸入物価の低下は、GDPデフレータを押し上げるのである。GDPデフレータは前年比3.4%上昇、前期比でも1.3%上昇した。

アベノミクスの成果ではない
GDPの水準は依然として低い

 では、1~3月期の高い成長率は、安倍内閣の経済政策によってもたらされたものだろうか? そうではないことを、以下に示そう。

 まず、1~3月期の高い成長率は、以下に示すように、原油安という外部要因によってもたらされたものである。これによって消費者物価上昇率が低下し、実質消費が増大したのだ。

 つまり、日本の経済政策の効果ではない。むしろ、インフレ目標を高めるという安倍内閣の経済政策が誤りであることを、明確に示したのである。

 そして、後述のように原油価格の低下は底を打ったと考えられる。原油価格下落の影響は、4~6月期までは続くと考えられる。しかし、それ以降の期間において日本経済の成長率を高めることにはならない。