「ビジネス」のために
クラスアクションを起こす弁護士もいる?

 日本企業の多くは、日頃からユーザーや社会に対して誠実な対応を心掛けています。それだけに、クラスアクションを起こされると、大きな精神的ダメージを受ける傾向が強いように思います。

  お客様に迷惑をかけてしまったという気持ちにさいなまれたり、訴訟を提起されたのは恥ずべきことだと考え、激しく動揺する経営者もいらっしゃいます。しかし、訴訟を提起されたことを恥ずべきことと考える必要はありません。

 むしろ、大切なのは、クラスアクションの実態を把握して、冷静に対処することです。なぜなら、他の訴訟とは大きく異なり、訴訟のチャンスを探っている弁護士がクラスアクションをつくっているケースも多いからです。いわば、クラスアクションをビジネスの“ネタ”にしている弁護士もいるのです。

 私自身、こんな経験があります。
 クラスアクションを提起された企業に、対応を依頼されたときのことです。原告団から提出された資料について調査をしていて、驚くべきことを発見したのです。なんと、原告団に名を連ねていたのは、その訴訟の代理人を務めていた弁護士の家の修理を担当していた業者と、2年前までその弁護士事務所に勤務していた人物、そして、その事務所の出入り業者の3者だったのです。

 つまり、その弁護士は、原告になり得る人物を身近な存在の中から探していたということです。もしも、その訴訟に勝てば、被告企業から“その他大勢の消費者”に莫大な損害賠償金が支払われることになります。その賠償金額をもとに弁護士報酬が支払われますから、彼は巨額な報酬を手にすることができるわけです。

 もちろん、被害を受けた消費者が中心となって起こしたクラスアクションには、真摯に対応する必要があります。しかし、弁護士が私利を図るために、訴訟を起こすことがあるのも現実。そのようなクラスアクションの対象となったときに、むやみに動揺していては、相手の思うツボです。だからこそ、まず冷静に状況を判断することが重要なのです。