早いもので大学院の前期の授業は折り返し地点を過ぎた。先週、今週、来週と中間テスト時期である。試験は何歳になっても嫌なものであるが、学習効果を高めるという意味では非常に効果がある。授業やテキストで理解をしたと思っていたことも、いざ試験になると解けないものが多い。そこで初めて認識するのだ。「あ、分かった気になっていただけで、習得はできていなかったんだな」と。

 やはり社会人としては、学んだものは実践で生かしたいという思いが強い。試験では、まさにその「どうやって生かすか」が問われるわけだが、試験によって学習効果が高まることをどこか楽しんでいる自分がいるので、不思議なものである。

 おそらくこのように感じる社会人大学院生は多いことと想像する。私が通っている早稲田大学のファイナンス研究科では、学生のほとんどが社会人であるが、授業の欠席者が非常に少ない。毎回出席を取っているためという事情もあるが、授業が終わった22時に会社に戻る人も少なくない現状からは、授業のためには何とか仕事の都合をつけているというのが正確な見方であろう。それだけ教室で得られるものに対して価値を見出しているということである。


大学院での勉学に
集中させてもらえない学生たち

 一方、もうひとつ通っている東京大学の公共政策大学院では、8割ほどが大学を卒業して社会人経験のないまま大学院に入ってきた20代前半の学生が多い。そして、なんと大学院入学後まだ数ヵ月しか経っていないのに、もう就職活動が始まりつつある。ちらほらとリクルートスーツで学校にやってくるクラスの学生が増えつつあるのだ。

 働きながら大学院に通うのもハードルが高いが、就職活動をしながら大学院の勉強に打ち込むのも、これまた別の意味でハードルが高い。社会人大学院生の場合は、時間のやりくりさえ何とかできれば対応可能である。しかし、就職活動は日々の心理状態を大きく揺さぶる。これは、一度は経験した社会人の方であれば皆共感いただけることだと思う。就職活動中は、勉強どころではなかったはずだ。