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部下の能力を120%引き出す「質問」の技術
【第10回】 2008年4月9日
著者・コラム紹介バックナンバー
齋藤淳子 [(株)コーチ・エィ シニア・エグゼクティブコーチ]

部下は「答え」ではなく、「応え」を欲している

 あるプロジェクトのコーチングをしていた時のことです。一人ひとりのメンバーは、とても明るく親しみやすい人たちなのですが、リーダーと他のメンバーの間がなにやらぎくしゃくしているのです。

 例えば、リーダーがプロジェクトの課題についてアンケートをとろうとすると、いきなり「何のためにするのですか?」「どういうフィードバックがあるのですか?」といった質問がメンバーから矢継ぎ早に出てきます。また、リーダーが口頭で連絡事項を通達しようとすると、メンバーからは「ちゃんと書面で通達してください」というリクエストが出てくるといった具合で、コミュニケーションがうまくとれていないのです。

 後ろから見ている私には、すぐには何が起こっているのかがわかりませんでした。なぜ、こんなことぐらいでぎくしゃくするのだろう、アンケートぐらい協力してあげればいいのに、と思っていました。

 でも、しばらくすると何となく様子がわかってきました。他のメンバーがリーダーに問いかけや疑問を投げかけても、“応えてもらえない”ということが頻繁に起こっていたのです。

 トレーニングの合間に、他のメンバーがリーダーに聞きにきます。

メンバー「これ、よくわからないのですが、どうしたらいいですか?」

リーダー「それがまだ決まっていないんですよね」

メンバー「いつ決まるんですか?」

リーダー「はっきりとはわからないんです」

メンバー「……いつから開始したらよいのですか?」

リーダー「まあ、とりあえず始めてみてください」

メンバー「とりあえず、でいいんですか……」

 これでは、メンバーは何のために、何をすればいいのかわかりません。トンネルのなかでは灯りがなければ長くは歩けないのと同じで、どこに向かっていけばいいのかすらわからなければ、「とりあえず始めてみて」と言われても積極的に動くことはできないでしょう。

 でも、リーダーがこんなふうに答えていたらどうでしょうか。

メンバー「いつから開始したらよいのですか?」

リーダー「まだわからないのですが、今日、検討します。いつまでにわかるといいですか?」

 人はいつも正解の「答え」を欲しているわけではなく、疑問を投げかけている気持ちに「応え」てほしい時もあるのです。自分の気持ちに応えてもらえれば、なんとかやってみよう、多少のことは協力してみようかということになるのではないでしょうか。「答え」よりも「応え」が必要な時もあるのです。

 部下の質問に正確に答えることができなくても、疑問を投げかけてくる気持ちを受け止め、応えてみてください。そうした上司の対応に、部下は信頼感を覚えるものです。お互いに信頼感が生まれれば、メンバーの結束は固まっていきます。

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齋藤淳子 [(株)コーチ・エィ シニア・エグゼクティブコーチ]

立教大学法学部卒。神戸製鋼を経て、1990年MSC(マネジメントサービスセンター)入社。数多くのリーダーシップ研修やコンサルティングを行う。1999年、(株)コーチ・トウェンティワン入社。2001年、(株)コーチ・エィへ。現在は、シニア・エグゼクティブコーチとして、上場企業を中心に経営者・管理職層へのトレーニング、および1対1のコーチングを実施。
コーチ・エィのホームページはこちら


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