1か月後に日本からフォローアップのメールが送られればよいほうでしょう。

「先月、シンガポールの展示会に出展しました日本X社です。貴兄は我々のブースにおいでくださり、とても興味をもってくださいました。その後、検討いただいていると思いますが、いかがでしょうか?」。

 運がよければ返信があります。「大変素晴らしい製品だと思いました。購入がきまりましたら、こちらから連絡差し上げます」といったメールです。しかし、ほとんどの場合は返答さえありません。

 結局、半年たって「展示会での反応はよかったけれど、注文は1件もなかったね」という結論になることは珍しい話ではありません。

3.現地子会社を設立

 これらの失敗を経て、とくにお金がある会社であれば、こう考えます。

 「やはり海外現地に連絡先とフォローアップする人材が必要だな。よし、海外子会社の設立だ」−−−これが、第3ステップです。

海外に子会社を作ると一体いくらかかる?

 中国なら上海、東南アジアならシンガポール、米国ならロサンゼルス、欧州ならデュッセルドルフといった場所に子会社を設立します。日本語と英語ができる責任者のほか、秘書兼経理の担当者、そして若くて生きのいいセールスマンを2名ほど雇って、計4名体制で営業開始です。

 この時点でいくらぐらいの経費がかかるか、ざっと計算してみましょう。

 責任者700万円+秘書300万円+セールスマン400万円x2名=1800万円

 そう、欧米の場合、人件費だけで1800万円もかかるのです。これにオフィス代や責任者の現地の家賃、保険や営業費等をいれると年間3000万円程度はかかります。中国・アジアでも年間1500万〜2000万円程度はかかるでしょう。

 ひとつの製品も売れないうちから、1500万〜2000万円もの年間経費が発生してしまいます。数年たって数千万円から億円単位の経費をつかった挙げ句、「中国なら日本よりずっと売れると思ったけれど、予想したほど売れなかったね(または、まったく売れなかったね)」といった感想をもって撤退する日本企業はあとを絶ちません。

 これらの例は、冷静に読めば「まさか!」陥るはずがないと思われるかもしれませんが、どれも実際によくみられる例なのです。ほかに方法はなかったのでしょうか? 海外販路の開拓には一応のセオリーがあると筆者は考えています。次回はそれをご紹介します。