「みんなが自分をバカにしている」<br />という勘違い古賀史健(こが・ふみたけ)
ライター/編集者。1973年福岡生まれ。1998年出版社勤務を経てフリーに。現在、株式会社バトンズ代表。これまでに80冊以上の書籍で構成・ライティングを担当し、数多くのベストセラーを手掛ける。臨場感とリズム感あふれるインタビュー原稿にも定評があり、インタビュー集『16歳の教科書』シリーズ(講談社)は累計70万部を突破。20代の終わりに『アドラー心理学入門』(岸見一郎著)に大きな感銘を受け、10年越しで『嫌われる勇気』の企画を実現。単著に『20歳の自分に受けさせたい文章講義』(星海社)がある。

古賀 ウケなかったんですか! 僕はもう人気が出たあとのラーメンズしか知らないので、最初からあの独特の世界観ですごくウケてたのかと思いました。

片桐 最初は全然ダメでしたね。いま思うと、身体性が伴ってなかったというか、頭脳と身体が合ってなかったんでしょう。「ぼくら二人がこれをやるからおもしろい」というレベルに達するまでは、台本が良くてもウケなかったです。漫才は特にダメでしたね。ネタの内容自体はおもしろいから多少は笑ってくれるんですけど、爆発的な笑いにまではいかない。やっぱりコントグループが漫才をやると、すごく嘘っぽくなっちゃうんだなと。

古賀 いま分析すると、ウケなかった理由がわかる。

片桐 でも、当時は何がダメなのかわかりませんでした。「あの人たちより絶対おもしろいはずなのに」とか「攻めてるネタやってるところはカッコいいんだけど」と思うんですけど、笑いという評価が得られないのはキツかったですね。

舞台でもテレビでも
「いま、ここ」を楽しむ

岸見 そう思いながらも、続けてこられた理由は?

片桐 それでも僕らは、けっこう早いうちにテレビに出られたので、そのキツい時期は2、3年で済んだんです。可能性があるのかな、ないのかなと揺れ動きつつ、自分の才能に根拠のない自信をもってなんとかやってきた、という感じですね。それで10年とか経つと、「あれ、じつはおれの隠れた才能とかって、ないんじゃないの?」と思うんですよ(笑)。そんなときに新しい人との出会いがあって、新たな自分を発見してもらうと、それ自体が楽しいですよね。しかもそれが仕事になって、お客さんに楽しんでもらえたりすると、ああいい人生だなと思える瞬間はあります。