競合がやりたがらない仕事に
ビジネスチャンスがある

――新商品の開発は、どんな視点で取り組むのが効果的でしょうか。

1つは、税務書類の作成などの従来業務に付随した、お客様のニーズのある業務をしっかり商品化することです。その一例として「記帳代行」が挙げられます。会計事務所は顧問先企業に対して「会計ソフトへの入力」が自社で内製化できるよう指導しますが、人材難によりそれができずに困っている企業も少なくありません。メイン業務ではないからと断る事務所が多いのですが、こうした周辺分野の商品を揃えているところは共通して伸びています。

なかでも最近注目されている商品が「経理代行」です。これは記帳だけでなく、給与計算、銀行振込・支払、売掛金・買掛金管理、請求書発行など、経理担当者が行っている業務を全般的に引き受けるものです。それにより顧問先では経理担当者が不要になり、その分の人件費を削減することができるのです。

商品開発でもう1つの視点は、他の会計事務所がやりたがらない「空白マーケット」を狙うことです。例えば、その1つに「新設法人マーケット」があります。これまで新設法人相手の業務は、設立まもなく廃業してしまったり、十分な顧問料が見込めなかったりという理由で「儲からない」と敬遠されてきました。しかし、会社を設立したばかりの人は税務についてわからないことが多く、初めて決算申告を迎えるときなどに間違いなくニーズはあるわけです。このように、空いているマーケットに着目して商品を開発することもとても重要です。

その他にも、お客様からニーズがあるのに開拓しきれていない分野はあります。そうした分野に着目し、現場のオペレーションや商品設計などを工夫することにより、利益を生み出せる体制をつくることが重要になっています。

ただし、大手の会計事務所も前述のような視点でアプローチを始めていますから、小さな事務所が生き残っていくためには、これまで以上に地域密着型のサービスを提供したり、大都市圏であれば業種を絞り込むなどの工夫も必要でしょう。例えば、私の支援先には、飲食業に特化した先生がおられます。「飲食業は儲かりにくいから、安い顧問料しかもらえないだろう」と考えがちですが、実際はその逆です。飲食業に特化した先生はごく少ないので、通常よりも高い顧問料で契約されているほどです。

――差別化の2番目として挙げた「価格力」については如何ですか。

価格で差別化を図るために大事なのは3つです。1つ目は、価格をしっかり明記することです。料金がわからない会計事務所は、値札のないお寿司屋さんみたいなもので、気軽に問い合わせをしようとは思えないでしょう。ひと昔前の会計事務所は「お客様を見て、価格を決める」ようなところがあり、相場よりも高い顧問料を取っていたケースもあります。そういう事務所は料金を明記したがらないのですが、それでは多くのお客様から選ばれるのは難しいと思います。