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大前研一講演録「グローバル化を好機と捉えよ」

資産を国に任せて安心できる時代ではなくなった

大前研一 [ビジネス・ブレークスルー大学院大学学長/ボンド大学大学院ビジネススクール教授]
【第1回】 2007年10月19日
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 日本人はもっと世界に目を向けるべきです。常々私は、より多くの人にグローバリゼーションに対して関心を持ってもらいたいと感じています。私は世界のあちらこちらに出掛けることが多いのですが、各国を訪問するたびに、我々が理解している世界と実際の世界とでは全く違うことに気づかされます。

 5年前ほど前から、世界は大きく変わりました。最も大きな変化は事業チャンスが増加し、多様化したことです。これほどまでに世界中に事業機会が広まったのは、グローバリゼーションという言葉が生み出されてから初めてのことだと思います。

 では、このチャンスを捉えるにはどうしたらよいのでしょうか? まずは、世界のどこの国に投資したら最も多くの利益を得られるのか、考えてみてください。米ソ冷戦が終わった後の数年間はアメリカ一極集中の時代でした。しかし今は、そのような状況ではありません。

 鍵となるのはおよそ6000兆円にものぼる「ホームレスマネー」――先進国の高齢者が持っている不要不急のお金――の存在です。このお金はその名が示す通り、世界中を彷徨い、チャンスが存在するならばすぐに国境を跨いで動きます。

 ホームレスマネーをはじめとする世界中のお金が市場に集まると、その市場はこれまでになく一気に活況を呈します。去年、一番上昇した市場はペルーで、上昇率は約70%です。その前年がインド、さらにその前の年はトルコで、その前の7年間をみるとエジプトがいちばん上がっています。

日本は国民の富を剥奪する以外
借金を返せない状態

 グローバリゼーションというのは、実は自分の年金や引退後の生活に影響を与えるくらい生活と密接な関係にあります。かつて、日本国民は政府に対して、「任せて安心!」とばかりに厚い信頼を置いていました。ところが、未統合の年金記録が5000万件もあることが報じられ、社会保険庁の杜撰な記録管理が明らかになりました。この事実に日本国民はショックを受けましたが、むしろ私は、このショックは大きいほど良いのではないかと考えています。

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大前研一 戦略論

1982年から1995年にかけて、大前氏が『ハーバード・ビジネス・レビュー』誌、『ウォールストリート・ジャーナル』紙への寄稿文をまとめた海外論文集。世界のビジネスリーダーが絶賛した大前氏の戦略コンセプトの原点といえる内容。1890円(税込)

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大前研一 [ビジネス・ブレークスルー大学院大学学長/ボンド大学大学院ビジネススクール教授]

早稲田大学理工学部卒。東京工業大学大学院原子核工学科で修士号、マサチューセッツ工科大学大学院原子力工学科で博士号取得。マッキンゼー・アンド・カンパニーで20年以上日本支社長、アジア太平洋地区会長を歴任。現在、大前・アンド・アソシエーツ代表取締役、ビジネス・ブレークスルー代表取締役、ビジネス・ブレークスルー大学院大学学長等を務める。著書に『ザ・プロフェッショナル』『大前研一 戦略論』『企業参謀』『新・資本論』など多数。
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大前研一講演録「グローバル化を好機と捉えよ」

大前研一氏の2007年10月の講演会の内容を、計3回にわたって掲載する。日本人の想像を上回る速度でグローバル化が進む世界に目を向け、それを好機と捉える発想がなければ、日本は再び浮上できない。

「大前研一講演録「グローバル化を好機と捉えよ」」

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