運動をしていた人、していなかった人
それぞれの1ヵ月に起こることとは

 なぜ1ヵ月だけなのか。それは、脳と筋肉をつなぐ神経回路が関係しています。
 これまで運動をしてきた人は、この神経回路がすでにでき上がっているので、たとえ長い間運動から遠ざかってブランクがあったとしても、一度つながった神経回路には有効期限がなく、筋肉そのものが昔使っていた記憶を簡単に呼び起こします(マッスルメモリーと呼ばれています)。

 「記憶が呼び戻される」とは、第1章でお伝えした、筋肉は50%以上の負荷をかけるトレーニングをしなければ発達しないという仕組みと関係しています。

 運動経験がある人はすでに、筋肉への負荷の掛け方(スイッチ)が記憶の中にあるので、運動を始めたらすぐに神経回路が昔の記憶を呼び戻し、50%まで体に負荷をかけることができます。

 しかし、過去にしっかりした運動経験がない人(マッスルメモリーが書き込まれていない人)は、自分の中で「頑張った! 限界だ!」と思っても、せいぜい30%ほどの負荷しかかけることができません。そのため、筋肉が発達するのに必要な50%の負荷を体にかけられるようにするためには、まず脳と筋肉をつなぎ合わせるためのトレーニングが必要になります。
 このつなぎ合わせるための期間が約1ヵ月なのです。

 これが「スタート地点の違い」です。同じメニューをしていても、そもそものスタート地点が違うので、すぐに効果が出せる人もいれば、なかなか効果が出にくい人もいるのです。

 このように、まず運動経験がある人は1ヵ月得をしている、という考え方です。しかし、得をしているだけ、ですから、運動経験がない人でも1ヵ月たてば、運動経験がある人と同じように効果を出せるようになっていくので心配はいりません。