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吉田恒のデータが語る為替の法則

円高は80円割れに向かうのだろうか?

吉田 恒
【第5回】 2008年11月12日
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 ドル/円もユーロ/円も、相変わらず上値こそ重いものの、一方でちょっと底堅い感じも出てきました。でも、これもいつまで持つかと思ってしまう人も少なくないかもしれません。

 実際、10月はいったん中旬にかけて底堅くなった相場が、下旬に入ると脆くも底割れに向かっていったのですから。今月もそうなってしまうのでしょうか? 私は、今月は違うかもしれないと、少し期待しています。

「行き過ぎた円安」が修正され、
一部は「行き過ぎた円高」領域へ

 一番の理由は、この間も書いてきたように、大きな通貨のバリュエーション調整は一段落した可能性があるということです。

 つい数ヵ月前まで、円安は多くの通貨に対して行き過ぎ圏にありました。ところが、10月のドル/円、クロス円(ドル以外の通貨と円との通貨ペア)の暴落を経て、この行き過ぎた円安は修正され、一部は行き過ぎた円高領域に入っているのです。

 相場は行き過ぎが常です。したがって、行き過ぎた円安が修正されたからといって、それで円高が終わる保証はありません。むしろ今度は行き過ぎた円高が拡大する中で、新たな円高に向かう可能性があります。

 ただし、同じ円高という現象でも、このように行き過ぎた円安修正に伴う円高と、行き過ぎた円高を拡大する過程での円高は、本質的に違うものだということです。

 相場は行き過ぎが常であるとともに、一方で行き過ぎはいずれ修正されることも常です。今回、行き過ぎた円安が修正されたように、行き過ぎた円高はいずれ修正で円安に反転するリスクも背中合わせになっているということです。

 理屈っぽい話はこのくらいにして、数字をチェックしてみましょう。

5年移動平均線からのかい離率で
「行き過ぎ」をチェック

 月末終値ベースの5年移動平均線(5年線)からのかい離率について、まずドル/円をチェックすると、10月末時点ではマイナス10%を超えてきました。ドルの5年線からのかい離率は、2000年以降マイナス10%を大きく超えたことがありません。

 その意味では、この10年ほどの常識からすると、ドルは月末終値でこれ以上は下がらないところまで下がったことになります。

 もっともわかりやすいのは、やはり豪ドル「オージー」ではないでしょうか。オージー円(豪ドル/円)は、5年線からのかい離率が過去20年間でマイナス30%を下限としてきました。

 さて、10月末のオージー円の5年線は88円程度ですから、かい離率がマイナス30%になると61円程度という計算になります。つまり、オージー円の20年間の常識からすると、当面の月末終値で60円は割れないということになります。

 ほかに、ユーロ/円も、NZドル/円(キウイ円)も、そして南アフリカランド/円も、グラフだけで確認しましょう。

 ほとんどすべてのケースで、それまで5年線を大きく上回り、つまり円安・外貨高行き過ぎ圏にあったのが、10月末にかけて5年線を大きく下回り、一転外貨安・円高の行き過ぎの限界に近いところまで位置を変えているのがわかると思います。

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吉田 恒 

立教大学文学部卒業後、自由経済社(現・T&Cフィナンシャルリサーチ)に入社。財務省、日銀のほかワシントン、ニューヨークなど内外にわたり幅広く取材活動を展開。同社代表取締役社長、T&Cホールディングス取締役歴任。緻密なデータ分析に基づき、2007年8月のサブプライムショックによる急激な円高など、何度も大相場を的中させている。2011年7月から、米国を本拠とするグローバル投資のリサーチャーズ・チーム、「マーケット エディターズ」の日本代表に就任。


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