米ウォルマート傘下の西友が、不採算店舗のリストラにメドをつけ、既存店舗の改装に乗り出している。来年の初頭までに100店舗をリニューアルする予定で、すでに30店舗をすませた。

 ポイントは3つ。

 まず、築年数のたった店舗の古びた外観や内装を修復する。

 2つ目は、ウォルマートの手法を取り入れた商品陳列で、価格を前面に打ち出している。

 たとえば、靴売り場は完全にセルフ方式で、山積みの靴箱からお客が自分でサイズの合う商品を探し出す仕組み。販売員を少なくして人件費を抑えており、婦人靴が1480円などともかく安さが目立つ。

 そして3つ目が、ワンストップショッピングという総合スーパー(GMS)業態への回帰だ。

 昨今、GMSでは、激しい価格競争に対応すべく品数を絞り込む傾向がある。ライバルのイオンでは30万ある商品を4割削減する。

 これに対して、西友は「カテゴリーは絶対に減らさない、むしろ増やす」(野田亨執行役員EVP最高執行責任者)方針。「ない商品があると、来店したお客をがっかりさせてしまう。ワンストップショッピングできるようにするのが改装の基本」だ。

 過去、西友の店舗では家電や玩具など不採算部門が姿を消してきたが、こうした売り場をあえて復活させたり、広げている。

 さらに、6月4日には若者ファッションの発信地、東京・原宿でファッションショーによって新作を披露した。ウォルマートの英国子会社が開発するデザインを取り入れ、「スーパーだけどダサくない衣料品」とアピールした。

 昨今スーパー業界では価格競争一辺倒になりがち。しかし、西友は「この2年でウォルマートと完全に同調するようになった」と、価格面はもちろん、品揃えやファッションなど、その他の武器も強力にアピールするようになった。

「百発百中とまではいかないが、改装後は売上高が2ケタ伸びている店が多い」(同)と回復の芽は出始めている。

(『週刊ダイヤモンド』編集部  須賀彩子)