――的確なインストラクションには、上司自身が指針を持っていなければいけませんね。

リーダーが判断力と実行力を<br />備えるために必要なことT. Usami

『プロフェッショナル・リーダー』の中でも、主人公をリーダーとして育てるために、上役である瀬戸顧問が主人公に質問をしたり、アドバイスをしたりしています。そうした適切なインストラクションができるのも、瀬戸顧問自身がリーダーとしての思考回路を備えており、「この状況において、リーダーは何をすべきか?」についての仮説を持っているからなのです。

日常業務における疑似的な修羅場で成果が出せるようになったら、徐々にリスクのマグニチュードを大きくして、最終的には「失敗したら、会社がつぶれる」「この買収は絶対に成功させなければならない」という、正真正銘の修羅場に責任者として送り込むことが必要だと思います。

――真の修羅場こそが人を育てるのですね。

そうです。実際、私の知る範囲でも、子会社や事業部門の立て直しに成功した方が、本社のトップに就任するケースが増えています。そうした会社の多くは、その後、業績を大きく回復させています。つまり、有事のリーダーシップのスキルは、現場レベルはもちろん、トップマネジメントの土台にもなり得るということなのです。