スマートフォンの登場で、環境が激変するゲーム業界。「バイオハザード」など、コア層向けのゲームが強みのカプコンのトップに今後の戦略を聞いた。

カプコン社長 辻本春弘 <br />コアユーザー向けで勝負する <br />モバイルはプラスアルファPhoto by Jun Morikawa

──昨年度は売上高が前年度比で37%減に落ち込みましたが、今後売り上げ拡大は狙わないのですか。

 売り上げを追い掛けないわけではありません。ですが今は、売上高1000億円を達成した2年前とは、状況が異なっています。

 当時の主流は、家庭用ゲーム機向けのパッケージソフトでしたが、ゲームビジネスがデジタルになり、ユーザーに直接販売するダウンロード販売を増やすと、(単価が低いことから)必然的に売り上げは減少するわけです。

 とはいっても、売上高が下がって利益が出ないわけではありません。開発体制などの構造改革を行い、利益率は改善しています。

──デジタル販売で、注力したい分野などは?

 当社のヒット作品である「バイオハザード」のようにシリーズ化された良質なコンテンツがあると、例えば映画の「スター・ウォーズ」のように、長年のファンに、昔の作品をデジタル化して楽しんでもらうという需要が生まれます。今後は、新作を販売する際に、過去作も一緒に売ることができます。

──ゲーム業界では、任天堂とディー・エヌ・エーが提携しましたが、スマホのゲームを強化する考えはありますか。