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【特集・クラウドと、どう向き合うか(7)】

業務ソフトの巨人SAPが仕掛ける
クラウド市場の構造変化

松岡 功 [ITジャーナリスト]
【第89回】 2015年6月10日
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クラウドコンピューティングは、ICTベンダー自身にも従来の製品販売からサービス提供へと、ビジネスの大きな転換を迫る。果たしてベンダー各社は、どのような事業戦略を描き、激戦市場を勝ち抜こうとしているのか。今回は、SAPジャパンの取り組みを紹介する。

利用者数8000万人を超える
クラウドサービスを展開

SAPジャパンの福田譲 代表取締役社長 Photo:DIAMOND IT & Business

 「SAPのクラウド事業における最大の使命は、革新的な技術によってお客様のビジネスを進化させていくことにある」

 SAPジャパンの福田譲社長は、取材の中で重ねてこう強調した。「革新的な技術」とは何か。「お客様のビジネスを進化させていく」とはどういうことか。これらの点を踏まえて、SAPのクラウド事業の“核心”に迫ってみたい。

 独SAPはERP(統合基幹業務)をはじめとした業務アプリケーション分野で世界トップシェアのソフトウェア企業である。同社がクラウド事業に本格的に乗り出したのは2年ほど前のことだ。

 それまでも、主に中堅・中小企業を対象としたERPなどの業務アプリケーションを「SaaS(Software as a Service)」型クラウドサービスとして提供してきたが、2年ほど前にすべての規模の企業を対象にしたサービス展開へ広げることを打ち出した。

 その際、SaaSとして提供するアプリケーションも「People」「Money」「Customer」「Supplier」といった4つのカテゴリの下に体系化し、業種を問わずに組み合わせて導入できるようにした。

 また、それまでアプリケーションごとに異なっていた開発基盤も、2013年5月に発表した単一の「SAP HANA Cloud Platform」に統一。これは、同社が5年ほど前に投入したインメモリ型プラットフォーム「SAP HANA」をベースに、アプリケーションの開発・統合やデータベース、データ分析などの機能を装備した「PaaS(Platform as a Service)」型サービスである。(下図参照)

SAPが提供するクラウドサービスの概要(出所:SAPジャパンの資料)

 SAPジャパンも同時期に、日本市場でクラウド事業を本格展開することを打ち出し、専任組織を設置。さらに昨年4月には東京と大阪にデータセンターも設け、クラウドサービスを国内で自ら運営する体制も整えた。

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松岡 功 [ITジャーナリスト]

まつおか・いさお ITジャーナリストとして複数のメディアにコラムや解説記事を執筆中。1957年生まれ、大阪府出身。電波新聞社、日刊工業新聞社、コンピュータ・ニュース社(現BCN)などで記者およびIT系月刊誌の編集長を歴任後、フリーに。主な著書は『サン・マイクロシステムズの戦略』(日刊工業新聞社、共著)、『新企業集団・NECグループ』(日本実業出版社)、『NTTドコモ リアルタイム・マネジメントへの挑戦』(日刊工業新聞社、共著)など。


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