――2つ目の「規模」については如何ですか?

不動産登記というのは、顧客から見れば「できて当たり前」で、差別化が図りにくい商品と言えます。では、競合との違いをどこで訴求するかと言えば、事務所の「規模」が思いのほか重要になります。

規模が大きい事務所ほど、さばける業務量は多くなりますが、司法書士の業務はある時期に集中する傾向が強いので、キャパシティが必要なのです。例えば、不動産登記の立会いは資格者にしかできない業務ですが、3月、9月、12月などの決算月に集中する特徴があります。しかも、大安に決済したがる人が多いので、月の数日間が勝負になります。つまり、1日に1件も決済がない日もあれば、10件ある日も出てくる。そうなると、資格者数が少ない事務所は、すべてに対応するのがなかなか難しいのです。

もう1つのメリットは、より利便性の高いサービスを提供できるということです。その一例が、土地家屋調査士と司法書士のワンストップサービスです。通常の不動産登記は、土地家屋調査士と司法書士がそれぞれの業務を分担して登記の申請手続きを進めますが、土地家屋調査士部隊を同じ事務所に置くことで、ワンストップサービスを提供できるようになります。顧客からすれば時間と手間の節減につながるので、ワンストップのニーズは大きいです。

その他にも、資格者が何人もいれば、それぞれの得意分野や専門性を生かしたサービスを提供できるなど、規模の大きい事務所が顧客に提供できるメリットは多いのです。

――最後の「販促・営業力」についてお聞かせいただけますか。

不動産登記はB to B to Cビジネス(企業の消費者向け事業を支援する事業)なので、何よりも重要なのは営業力の強化です。司法書士の営業というのは、よく言われる「御用聞き営業」ですが、実際には下請け的な営業スタイルを取ってきました。営業の質で差別化を図るためには、これを提案営業に変える必要があります。