IoTがビジネスを変える!|ダイヤモンド・オンライン
DOL特別レポート
2015年6月11日
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伊藤慎介 [株式会社rimOnO(リモノ)代表取締役社長]

IoTでは「システム」が価値を生む
日本企業の「ハード重視」は危険
――日の丸IoTの成否(3)

 これがIoTの3つ目の価値である「タイムマシン的な機能」なのだ。

 そして、タイムマシン的な機能ができると、未来を先読みして手を打つことが可能になる。

 実際に、建設機械メーカーのコマツでは、自社が販売した建機の稼働情報を常にネットワーク経由で把握することで、部品交換が必要なタイミングを事前に計算し、予め交換部品をサービス拠点まで手配するといったことを行っている。

 部品交換のために建機の稼働を止めることがほとんどなくなるのであるから、建機の稼働率を向上したいユーザーには大きなメリットをもたらすことになる。

 また、GEやロールスロイスなどの海外の大手航空機エンジンメーカーでは、ヘルスモニタリングシステム(健康管理システム)と呼ばれるシステムを通じて、顧客のエンジンの稼働状態や整備状態をオンラインでモニタリングしている。

 詳細は「DOL特別レポート いかにして航空機エンジンメーカーは顧客のロックインに成功したか 航空機産業が示唆する日本の産業界の課題(2)」を参照いただきたいが、彼らはこのようなシステムとアフターサービス拠点の整備を同時並行で構築することで、部品交換のみで稼ぐというメーカー型ビジネスモデルから、部品交換も含めたアフターサービスを丸ごと提供するというサービス型のビジネスモデルへと転換しつつある。

 これらの事例からは、機器をIoT化することは、新しい付加価値を顧客に提供するだけでなく、自社のビジネスモデルを転換する力さえを持っていると言えるのだ。

自分専用の「目玉おやじ」を操る
それがIoTの行きつく先

 モノがネットワークにつながることで「進化するモノ」となり、システムにつながることで「モノがシステムの一つの部品」となり、そしてシステムを通して統計化が行われ「タイムマシン的機能」が提供されるようになる。

 換言すれば、IoTとは、我々の身の回りにあるあらゆるものが、自ら進化しながら我々の代わりに様々な情報を収集し、システムを通して過去~現在~未来を把握した上で、未来を先読みして手を打っておいてくれるという仕組みができ上がっていくことを指す。

SPECIAL TOPICS

伊藤慎介 [株式会社rimOnO(リモノ)代表取締役社長]

いとう・しんすけ/株式会社rimOnO(リモノ)代表取締役社長。1973年生まれ。京都大学大学院工学研究科卒業後、1999年に通商産業省(現、経済産業省)に入省。経済産業省では、自動車用蓄電池の技術開発プロジェクト、スマートハウスプロジェクト、スマートコミュニティプロジェクトなどの国家プロジェクトを立ち上げた後、2011~2013年には航空機武器宇宙産業課において航空機産業政策に従事。2014年7月に経済産業省を退官し、超小型電気自動車のベンチャー企業、株式会社rimOnOをznug design根津孝太と共に設立。


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