前回に続き、「国際原子力シンポジウム」(5月19日、東京で開催)に参加された英国インペリアルカレッジ・ロンドンのジェリー・トーマス教授のインタビューをお送りする。トーマス教授は、分子病理学専攻の著名な研究者である(以下、質問は筆者)。

原子力に対する説明では
男女の判断方法の差も考慮すべき

海外専門家が懸念「原発容認派が声を上げない日本の現状は不幸だ」「事実に基づかない反対派の意見ばかりが目立つ」とトーマス教授は言う

──トーマス教授が原子力に関する人々の不安を解消しようとする場合、男性に対する説明方法と女性に対する説明方法では、違いはあるか? あるとすれば、どのような違いか?

 一般的に、女性は原子力に限らず、「技術」全般についてあまり得意ではないと思われる。また、女性は母親という立場から、特に子どもの健康面での被害があるかどうかに注目しがちだと思われている。

 しかし、それだけではない。一般論であるが、女性は「自分が判断するだけの知識や理解力を持っていないと自分のことを思っている」傾向が強く、片や男性は「自分で判断できると思っている」傾向が強い。

 女性はドレスを選ぶのでも時間をかけて考えながら選ぶ。つまり、判断の方法が男性とは違う。女性に理解を求めるのであれば、そういう男女差があることを前提として説明していくことも必要だ。

 日本でも他国でも、若い女性は、同じ部屋に年上の男性がいると、自分の意見をなかなか言わないという傾向が強いと思う。そういうときに女性の本音を聴きたいのであれば、男性は部屋から出て行き、女性だけの場とすることが必要だろう。