オーパワーは東京電力と業務提携し、同社の無料ウェブサービス「でんき家計簿」に仕組みやノウハウを提供するソフトウエア会社だ。2016年4月に完全自由化を迎える日本の電力市場をどう見ているか話を聞いた。

オーパワー創設者兼プレジデント アレックス・ラスキー <br />自由化市場で電力会社に必須なのはソフトウエア思考Photo by Yasuo Katatae

──2016年4月に日本の電力市場は完全自由化されます。消費者と電力会社の付き合い方はどのように変わっていくのでしょうか。

 消費者と電力会社の関係は、世界のどの市場でも実に単純なものでした。安全に、確実に、安く電気を顧客に届け、請求書を送る。顧客は、請求金額を支払い、それでおしまい。双方とも相手にあまり関心を持っていませんでした。

 しかし、自由化されれば顧客は多くのことを望むようになります。自分の利用料金や電気使用量に関する詳細な分析データ、それを減らすためのサービスなどが挙げられます。

 さらに、顧客は選択できるようになります。料金が割高でも再生可能エネルギーによる電気を使いたいという顧客もいるでしょう。

 顧客は多様化し、それに電力会社は対応していかなければならなくなります。電力会社は発電所や送電網というハードウエア重視の経営をしてきて、それが競争力を生んでいましたが、これからはそれらに加えて、多様化する顧客のニーズに応えるためのソフトウエア思考が必要になります。

 こうした変化対応ができない電力会社は顧客を他社に奪われ、生き残ることは難しくなるでしょう。

──「でんき家計簿」のサービススタートから約1年たちました。新たに見えてきた日本の電力市場の特徴などはありますか。