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人生の99%は思い込み――支配された人生から脱却するための心理学
【第10回】 2015年6月16日
著者・コラム紹介バックナンバー
鈴木敏昭 [心理学者]

誰もが知らずに参加している!
人生の脚本を勝手に進める「ゲーム」の秘密

なぜ肝心なときに失敗してしまうのか、なぜ幸せを自ら崩壊させてしまうのか……。あなたには、そんな傾向はないだろうか? 実はこれらはすべて思い込みからなる「人生脚本」のせいだと語るのは、『人生の99%は思い込み』の著者である心理学者の鈴木敏昭。人生脚本を動かすゲームについて追ってきた。前回までで、「こんなひどいゲームに巻き込まれたくない」と思った方もいるかもしれない。しかし、あなた自身もゲームを仕掛ける張本人だとしたら……?

知らず知らずにあなたが仕掛けている
7つのゲーム

 人生脚本を動かすゲームには大きく7つのパターンがある。自分が行っているゲームはないだろうか? それぞれの特徴を紹介するので、確認していただきたい。

1、自滅(自罰)のゲーム 「どうせ私はダメだから」
 あなたの周りに、しょっちゅう遅刻をしたり、何度注意しても同じミスをしたりする人はいないだろうか。
 このパターンのゲームは、「私はNG、あなたはOK」か「私もあなたもNG」の構えの人生脚本を持っている人が演じやすい「自滅(自罰)のゲーム」だ。自分のダメさを確認し、そんなダメな自分を罰する気持ちがこのゲームの報酬になっているのだ。「やっぱり自分はダメな人間だ」と否定的な人生脚本を確認しているのだ。
 例えば、父親が呑んだくれのアルコール中毒だった人は、「自分は父親のようになっちゃいけない」と思っているが、根底では「健康になってはいけない」という禁止令を自分に課している場合がある。そのため自分自身も父親のように酒を飲み、自堕落な生活に陥る危険性があるのだ。

2、攻撃・他罰のゲーム 「土下座しろ!」
「痛みが治まらないからなんとかしろ!」とわめく患者や「料理が気にくわないから土下座しろ」と主張する客、「こんなところに資料を置きっぱなしにするなんて、だらしない!」と小さなことでいつまでもグチグチ文句を言い続ける人。
 このような人たちが演じているのが、「攻撃・他罰のゲーム」である。このゲームをしている人は、一見すると攻撃的で自信過剰にも見える。
 しかし、心の裏に実は「自己否定」が潜んでいることも多い。弱い自分、ダメな自分を守るために、他人を攻撃して、自分の正しさを確認したいというケースもあるのだ。
 このゲームを演じやすい人は、「私はOK、あなたはNG」か「私もあなたもNG」の構えの人。

3、責任回避のゲーム 「私は悪くない」
 手柄は自分のもの、失敗は部下のせいにする上司は少なからずいるだろう。
 上司の指示通りに作業を進めたにもかかわらず、それが間違っていると第三者から指摘されたときに、「お前の話の聞き方が悪い」と部下のせいにする人。こういうタイプは、「責任回避のゲーム」を演じている。
このゲームの特徴は、人生の大事な局面で、自分の責任からとにかく逃げることだ。「私はOK、あなたはNG」という、自分を肯定する構えを持っているのが一般的である。
 例えば、「本当は勉強不足だから試験に落ちた」「あまり練習しなかったから試合で負けた」だけなのに、「俺の家は勉強する環境じゃないから」「グラウンドが暑くて練習どころじゃなかったんだよね」と、責任転嫁する人を指す。

4、競争のゲーム 「オレは昨日も徹夜」
「俺、昨日も徹夜で仕事しててさ」、「私、またサークルの役員やることになっちゃって困っちゃう」など、やたらと「俺は頑張っている」「私は大変」とアピールする人は、皆さんの周りにもいるだろう。
 実は、これも一種のゲームかもしれない。このゲームをする人は、他人との比較、他人からの称賛でしか、自分の存在価値を確認できない「競争のゲーム」を演じている。
例えば、仕事中毒の人は、まさにこのゲームをしている。毎日深夜まで残業し、周囲に「俺はこんなに頑張っている」とアピールする人だ。実は心の奥にある劣等感やコンプレックスのために、「努力していない自分には価値がない」と思い込んでいるかもしれないのだ。

5、他者支配のゲーム 「あなたのために言っているんだ」
 自分の思い通りに動かない部下を怒る上司、子どもに自分のかなえられなかった夢を押しつけ、自分の分身のように教育する親。
 これは「他者支配のゲーム」だ。
支配の方法は力ずくで相手を抑え込むとは限らず、自分の不幸な境遇をアピールし、相手の同情を利用して支配することもある。
 たとえば「私はNG」の構えを持っている人は、自分の不健康さや忙しさなど不幸を大げさに言い、周囲からの同情を集めて相手を支配しようとする。
 単に「大丈夫?」「大変だね」と言って欲しがっているのなら、競争ゲームである。だが、「体調悪いから、シフト代わって」「一人じゃ仕事が終わらない」と、相手の行動を支配しようとしている人は、支配のゲームを演じている。
 また、「私はOK、あなたはNG」の構えを持つ人がこのゲームを始めると、「あなたのため」「君のことを思って」と言いながら、相手の行動に事細かに指図をするようになる。
 これは、もちろん「あなたのため」などではない。「自分のため」だ。

6、復讐のゲーム 「この恨みは絶対に晴らす」
「復讐のゲーム」は文字通り、自分にひどいことをした誰かへの復讐が目的
になる。
 厄介なことに、復讐の相手が、ゲームを仕掛ける相手と一致しているとは限らない。
 たとえば、彼氏がちょっと女友達と出かけただけでもすぐに怒り、「今度あの子と話したら、別れるから!」と、やたらと彼氏を束縛する女性がいたとしよう。
 一見、彼氏を攻撃しているように思える。ところが、この女性が本当に復讐したい相手は別にいる場合もある。それは浮気を繰り返して母親を泣かせた父親であったり、二股か三股をかけた上に自分を捨てた元カレであったりするかもしれないのだ。コンプレックスや過去の心の傷が、復讐のゲームの原因になっているケースもある
 また、復讐のゲームに支配されている人は、他人の幸せが許せない
「今度、結婚するんだ」と報告したら、その友人が陰で自分の悪口を言いだした。これも復讐ゲームの一つ。自分に劣等感を抱かせる相手が悪いのだと逆恨みし、復讐に燃えるのだ。

7、依存のゲーム 「なんで返事くれないの?」
 恋人が電話に出なかったり、メールの返事が少し遅れただけで、不安になって何度も連絡をしたりする人は、「依存のゲーム」を演じている可能性大である。
 これは相手にすがり、とにかく頼り切ることを目的にしているゲームだ。
このゲームを演じる人は、「考えるな」「成長するな」の禁止令を持っている人が多い。

 あなたはいずれかのゲームを演じてはいなかっただろうか? 自身のゲームの傾向を掴むことが、思い込みの連鎖から脱却する第一歩だといえるだろう。

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鈴木敏昭 [心理学者]

◎1950年東京生まれ。教育学修士(京都大学/1980年)。
◎77年横浜国立大学教育学部卒業後、80年に京都大学大学院教育学研究科(修士課程)修了。85年に京都大学大学院教育学研究科(博士課程)単位取得満期退学。その後、四国女子大学家政学部助教授などを経て、96年より四国大学生活科学部教授。
◎専門分野は心理学。「自己意識の構造」が最大テーマ。その主な下位領域として自尊心、性意識、思い込み、人格形成などを研究。
◎中学2年のときから「自分とはなにか?」に関心があり、以来ずっと「自分」についての研究に没頭している。
◎日本心理学会、日本発達心理学会、教育心理学会、日本社会心理学会所属。著書に『自己意識心理学概説』(北樹出版)、『自己成立の発達心理学』(ふくろう出版)、『思い込みの心理学』(ナカニシヤ出版)などがある。


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世の中の「常識」もあなたの「性格」もこの世の99%は思い込みでできている。その「思い込み」はいかにつくられるか、またその「思い込み」を外すにはどうすればいいかを探る。

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