必読の名著『競争優位の戦略』は7章が肝

 マイケル・ポーターの『競争優位の戦略』は、日本の経営者やマネジャー層にも知られている本ですが、それを使いこなしている方は非常に少ないでしょう。
 なぜか。それには、次のような4つの壁があるからです。

 まず、第1に価格の壁です。

 じつに8424円(2015年5月現在)もします。高すぎて、「買うな」と言わんばかりです。しかし、思い切って買ったとします。

 第2は読了の壁です。

 内容が難しいうえに、翻訳がわかりにくいとの感想もあります。

 しかも分厚い。だから買っても途中で読むのをやめてしまうのです。要約をまとめさせてみても、何のことだかさっぱりわからない場合が多いです。

 第3は、自社の事業へ当てはめるときの壁です。

 第4は、自社の事業に当てはめたとしても、それを全社で実践できるかという壁です。お互いの共通言語や共通のフレームワークがないと容易には実行できません。

 ですが、それだけ壁があるからこそ、『競争優位の戦略』を徹底的にものにして使えば、他社との差別化ができるのです。

 同書から学ぶべき重要項目として、以下の4つがあります。

(1)業界セグメント(7章)
(2)5つの競争要因(1章)
(3)3つの競争戦略(1章、2章、3章、4章)
(4)3つのバリューチェーン(2章、9章、10章)

 ここでは、5つの競争要因、3つの競争戦略、3つのバリューチェーンについて簡単に説明しましょう。

 同書を、普通に1章から読み始めてみると「業界の構造分析」として、先に紹介した5つの競争要因の分析が出てきます(下図参照)。

ポーターの経営学を使える武器にする

 

  じつは、ここで「業界とは何か?」がピンとくるかどうかが、この本を読み解くポイントです。そこで、『競争優位の戦略』の7章に飛んでみてください。