ダイヤモンド社のビジネス情報サイト
経済分析の哲人が斬る!市場トピックの深層

日銀が向かうのは「量的」ではなく「質的」な追加緩和

――森田京平・バークレイズ証券 チーフエコノミスト

森田京平 [バークレイズ証券 チーフエコノミスト],高田 創 [みずほ総合研究所 常務執行役員調査本部長/チーフエコノミスト],熊野英生 [第一生命経済研究所経済調査部首席エコノミスト]
【第175回】 2015年6月17日
著者・コラム紹介バックナンバー
1
nextpage

日銀の景気判断:
5月に半歩、上方修正

今後日銀が向かうのは、「量的」な追加緩和ではなく「質的」な金融緩和?

 今週18~19日、日銀は金融政策決定会合を開く。金融政策、景気・物価判断はいずれも据え置かれるであろう。

 一方、日銀は直近5月21~22日の決定会合で景気判断を半歩、上方修正した。その際、足元の景気については「緩やかな回復を続けている」、先行きについては「緩やかな回復を続けていくとみられる」と評価した。それまでは、足元を「緩やかな回復基調を続けている」、先行きを「緩やかな回復基調を続けていくとみられる」としていたが、今回、いずれについても「基調」が削除された。景気の局面が回復に移っているという判断が示された。上方修正された需要項目は、個人消費と住宅投資だ。

実質実効為替で見た日本円:
変動相場制移行(1973年2月)以来の最安値

 また今月10日、黒田日銀総裁は衆議院財務金融委員会で、「実質実効為替レートではかなりの円安の水準になっている」「実質実効為替レートがここまで来ているということは、ここからさらに実質実効為替レートが円安に振れるということはなかなかありそうにない」と述べた。

 また、「為替の議論は、プラス面もマイナス面もある。そのときのファンダメンタルズと対応する一定のレンジにあり、その範囲で動いているのが望ましい」とも指摘した。

 確かに、実質実効為替レートで評価した円は、変動相場制に移行した1973年2月以来の最安値水準にある(図表1参照)。実質実効為替は国内物価と海外物価(円建て)を比較した「相対物価」に当たる。これが変動相場制移行以来の最安値になっているということは、日本が価格競争力を回復したということを意味する。

1
nextpage
関連記事
スペシャル・インフォメーションPR
クチコミ・コメント

DOL PREMIUM

PR
【デジタル変革の現場】

企業のデジタル変革
最先端レポート

先進企業が取り組むデジタル・トランスフォーメーションと、それを支えるITとは。

経営戦略最新記事» トップページを見る

最新ビジネスニュース

Reuters

注目のトピックスPR

話題の記事

森田京平 [バークレイズ証券 チーフエコノミスト]

もりた・きょうへい/1994年九州大学卒業、野村総研入社。98年~2000年米ブラウン大学大学院に留学し、経済学修士号を取得。その後、英国野村総研ヨーロッパ、野村證券金融経済研究所経済調査部を経て、08年バークレイズ・キャピタル証券入社。日本経済および金融・財政政策の分析・予測を担当。共著に『人口減少時代の資産形成』(東洋経済新報社)など。2010年7月より、参議院予算委員会内に設置された「財政再建に向けた中長期展望に関する研究会」の委員を務めている。

 

高田創 [みずほ総合研究所 常務執行役員調査本部長/チーフエコノミスト]

たかた はじめ/1958年生まれ。82年3月東京大学経済学部卒業、同年4月日本興業銀行入行、86年オックスフォード大学修士課程修了(開発経済学)、93年審査部、97年興銀証券投資戦略部、2000年みずほ証券市場営業グループ投資戦略部長、06年市場調査本部統括部長、チーフストラテジスト、08年グローバル・リサーチ本部金融市場調査部長、チーフストラテジスト、11年より現職。『銀行の戦略転換』『国債暴落』『金融市場の勝者』『金融社会主義』など著書も多い。

熊野英生 [第一生命経済研究所経済調査部首席エコノミスト]

くまの・ひでお/第一生命経済研究所経済調査部首席エコノミスト。 山口県出身。1990年横浜国立大学経済学部卒。90年日本銀行入行。2000年より第一生命経済研究所に勤務。主な著書に『バブルは別の顔をしてやってくる』(日本経済新聞出版社)など。


経済分析の哲人が斬る!市場トピックの深層

リーマンショック後の大不況から立ち直りつつあった日本経済の行く手には、再び暗雲が立ち込めている。留まることを知らない円高やデフレによる「景気腰折れ不安」など、市場に溢れるトピックには、悲観的なものが多い。しかし、そんなときだからこそ、政府や企業は、巷に溢れる情報の裏側にある「真実」を知り、戦略を立てていくことが必要だ。経済分析の第一人者である熊野英生、高田創、森田京平(50音順)の4人が、独自の視点から市場トピックの深層を斬る。

「経済分析の哲人が斬る!市場トピックの深層」

⇒バックナンバー一覧