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弁護士・永沢徹 企業乱世を読み解く

シナジー価値を高額TOB価格で示した
キリンの協和買収

永沢 徹 [弁護士]
【第2回】 2007年10月24日
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 キリンホールディングス(HD)が協和発酵工業を買収するとの発表があった。

 キリンHDはTOB(株式公開買い付け)で協和発酵株の27・95%の取得を目指し、さらに子会社のキリンファーマと協和発酵の株式交換によって協和発酵を子会社化し、最終的にキリンファーマと合併させる。新会社「協和発酵キリン」へのキリンの出資比率は50%を超え、協和発酵はキリンHDの連結子会社になるという。

 協和発酵は、医薬と食品が事業の柱だが、とくに医薬事業に大きな価値がある。

 薬品部門の企業価値の見方はなかなか難しく、「パイプライン」といわれる、薬品の開発から販売までの一連したラインの中で、新薬の開発がどのフェイズに来ているのか、という視点が判断材料となる。

 薬品メーカーの現在の業績というのは、言ってみれば過去に開発した薬品の成果によるものだ。したがって薬品会社の企業価値を判定する場合、現在の業績よりもむしろ5年後10年後にどれだけの新薬を開発できているか、という将来的な視点で見なければいけない。

バイオ医薬分野で
両社の思惑が合致した

 協和発酵が開発を手がける新薬部門と、キリンが目指す方向性は非常に近い。両社ともに発酵を母体とした企業であり、薬品開発においてもバイオテクノロジーがベースにある。協和発酵は、アレルギーや腎疾患薬といった特定の薬品分野では高い競争力がある。キリンもビール事業が頭打ちで、医療部門を今後の事業の柱に成長させたい狙いがあった。

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永沢 徹 [弁護士]

1959年栃木県生まれ。東京大学法学部在学中に司法試験合格。卒業後の84年、弁護士登録。95年、永沢法律事務所(現永沢総合法律事務所)を設立。M&Aのエキスパートとして数多くの案件に関わる。著書は「大買収時代」(光文社)など多数。永沢総合法律事務所ホームページ


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