心理学の実験でも証明された
論理を求める男性と共感を求める女性

 あなたが男性で、この会話を読んで、感じることが、「何だこの女、馬鹿じゃねーの?」のようなもの「だけ」ならば、たぶん、あなたは男性的視点しか持っていないといえる。

 この会話の中で、確かに男は誠実に「問題解決」をしようとしている。男にとっての問題は、「車が動かないこと」であり、解決策は「車を動くようにすること」である。そのために、バッテリーをライトが点くかどうかで調べようとしている。極めて論理的な思考だ。

 だが、女がこの会話の中で本当に求めているものは、少し違う。それは「困っている自分へのケア」であり、共感である。

 もちろんこの会話はかなりカリカチュア(誇張)されたものなので、論理的思考の男性が「むかつく」ようにつくられている。だが、これまで筆者の出会った「両性視点」を持った人々は、この会話を「面白い」と笑っていた。

 この会話の感想からわかるのは、女性のコミュニケーションには「感情的共感」が大きな割合を占めているということだ。実際にフェイス・トゥ・フェイスで接客をする職業に女性が多いという事実は、この論の正しさを物語っている。

 このことは、また心理学の実験でも実証されている。イギリスの有名な発達心理学者であるケンブリッジ大学のバロン=コーエンは、「怒り」「喜び」など、さまざまな感情を持った人の顔写真の「目元部分」だけを切り取って、実験参加者に見せ、写真人物の感情を当てさせる実験を行った。その結果は、女性のほうが、男性よりも、目元写真だけで相手の感情をより正確に推測できた、というものだった。

 その後の研究で、その男女差は「共感性」の違いによるものだったことが分かった。つまり、共感性の高い人は、相手の感情を読むのがうまいのだ。

 もちろん男性にも共感性が高く、相手の感情を読むことがうまい人もいる。だが、進化の過程で、話のできない赤ん坊の面倒を見るという「仕事」をこなしてきた女性のほうが、そういった能力が先天的に高いのは頷ける話だろう。

 したがって、一般論として共感性を必要とする仕事には、男性よりも女性のほうが向いているだろう。その一方で、上記の会話の例でもわかるように、論理性を重視するならば、男性のほうが向いていることになる。

 以上の話は、だが、科学的な論拠を出すまでもなく、読者のみなさんはすでに直観的にわかっていたものだろう。だが、最近の研究ではもっとさまざまな男女の認知能力や意思決定の違いがわかってきている。2つほど紹介しよう。