日中関係にある程度の改善が見られたため、ということもあるが、訪日中国人客が急増している。

 2014年の訪日外国人数は1341万人だが、そのうち、訪日中国人客は3位で約241万人。急増していてもまだ3位かと思う方がいらっしゃるかもしれないが、2013年の103万人だった実績と比べてみると、なんと14年の伸び率は83.3%と首位を誇っている。6年連続で100万人規模を維持した訪日中国人客ははじめて200万人という大台を突破した。

 一方、2014年、日本人出国者数が、前年比3.3%減の1690万人(推計値)。中国を訪問した日本人渡航者数は、2007年の397万人がピークだったが、2014年に中国本土を訪れた日本人渡航者数は昨年比5.6%減の271万人となった。

 これまで日中間では、相手国を訪れた渡航者数においては、日本は中国のずっと上を行ってきたが、もうそろそろ逆転の局面を迎えるだろうと思われる。早ければ、今年で逆転するかもしれないという分析もある。

年間1億人以上が海外旅行する中国
努力次第で訪日客はまだまだ増える

爆買い景気で喜ぶのは尚早<br />欧州に遅れをとった中国客誘致合戦中国人客の爆買いは、日本だけの話ではなかった…

 これほどまでに急増する中国人観光客だが、その他の統計データを見ると、伸びしろはまだまだあると容易にわかる。たとえば、2014年、海外(香港、マカオ、台湾も含む)を訪れた中国本土の旅行者数はのべ1億1700万人、初めて1億人という大台を超えた。今世紀初頭に世界観光機関では、2020年に中国人の海外旅行者数が1億人を超えると予測していたが、それを6年も前倒しで実現できたことになる。

 年間1億2000万人も海外旅行をしているとなると、まるで日本の全人口が海外旅行に出ているようなものだ。その意味では、そこからいろいろな課題を見出すことができる。たとえば、この統計から見ると、100人の海外訪問者のなかに、日本を訪れた中国人は大雑把に言うと、5、6人しかいない。