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8人に1人が苦しんでいる!「うつ」にまつわる24の誤解 泉谷閑示

「試し出社」で会社アレルギーは消える?―ウツ休職者の段階的復帰プログラムの問題点

――「うつ」にまつわる誤解 その(14)

泉谷閑示 [精神科医]
【第14回】

 「うつ」で療養されていた方が職場などに復帰する際に、通常、段階的な復帰プログラムが用いられることが多いようです。また患者さん自身でも、家事や外出などの負荷を段階的に増やしていく方法でリハビリを試みる方もあります。しかし実際には、常にこのアプローチがうまくいくとは限らず、挫折してしまうケースも少なくありません。

 そこで今回は、この段階的に負荷を増やす方法に潜む問題点について考えてみたいと思います。

順調に「試し出社」を開始したけれど……

 Uさんは会社を「うつ」で休職し、半年ほど自宅療養を行なってきました。自宅で過ごすうえでは不調になることもなくなり、主治医やカウンセラーの勧めもあって、そろそろ少しずつ職場復帰に向けてリハビリをしていこうということになりました。

 そこで、まずは朝の通勤時間に会社のある駅まで電車で行き、会社には寄らずに、そのまま帰って来るという方法が提案されました。Uさんは、さっそくこれを実行し、はじめは恐る恐るではありましたが、どうにか1週間続けることができました。

 第1段階をクリアーしたので、次は第2段階として会社の近くの喫茶店まで行って、そこで小一時間ほど新聞や雑誌を読んで過ごしてから帰るというやり方にチャレンジすることになりました。Uさんは、「会社の人間に会ってしまったらいやだな」という不安も多少ありましたが、これもどうにか1週間やり通すことができました。

 主治医からも「この調子なら大丈夫だろう」と言われ、会社の産業医の承諾も得られたので、いよいよ「試し出社」を行なうことになり、まずは午前中の数時間だけから試してみることになりました。

 久しぶりに出社してみると、職場の上司や同僚もUさんの復帰にとても協力的で、仕事も負担のないものに配慮してもらえました。客観的に見てもストレスの少ない状況が用意されており、Uさん自身も「この調子なら、順調に行けそうだ」と感じていました。

 しかし、試し出社を始めて3日目の朝、Uさんはいつも通りに起床はしたものの、「出社したくない」という気持ちが理由もなく強烈に湧き上がってきてしまいました。「何もストレスなんかないはずなのに……」と何度自分に言い聞かせてみても、身体も心も頑として言うことを聞いてくれません。結局この日は出社できず、翌日以降も出社できなかったため、Uさんは再び自宅療養に戻ることになったのです。

整形外科的なリハビリではうまくいかない!

 Uさんは、きちんと段階を踏んで復帰プログラムを実行したわけですが、なぜ途中で出社不能になってしまったのでしょうか。

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泉谷閑示 [精神科医]

1962年秋田県生まれ。東北大学医学部卒。東京医科歯科大学医学部付属病院医員、(財)神経研究所付属晴和病院医員、新宿サザンスクエアクリニック院長等を経て、現在、精神療法を専門とする泉谷クリニック院長。著書に『「普通がいい」という病』(講談社現代新書)と最新刊の『「私」を生きるための言葉』(研究社)がある。
「泉谷クリニック」ホームページ


8人に1人が苦しんでいる!「うつ」にまつわる24の誤解 泉谷閑示

いまや8人に1人がかかっているといわれる現代病「うつ」。これだけ蔓延しているにもかかわらず、この病気に対する誤解はまだまだ多い。多数の患者と向き合ってきた精神科医が、その誤解を1つずつひも解いていく。

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