赤ちゃんが生まれたときの反射は、刺激がなくても勝手に手をにぎっているので、「原始把握反射」と呼ばれています。

 目の前にあるボールを自分で「にぎる」ときには、まず、前頭前野の神経細胞が働いて、にぎろうとする意志が発生し、なにをどうにぎるかという“にぎる計画”が「ワーキングメモリー」として前頭前野に保存されます。

 そして、運動野の神経細胞が働いて、手の筋肉に「運動指令」を出し、手の指を曲げる筋肉を動かして、にぎる運動が起こります。

 手でにぎる運動は、下等なサル(キツネザル、リスザルなど原猿)でもできます。

 進化の過程で古い運動野(旧運動野→下図の運動野が旧運動野)が働き、ここから脊髄の神経細胞に連絡が行って、運動細胞が働いて運動が起こります。

 目の前にあるリンゴ片を「つまむ」ときには、前頭前野が働いてつまもうとする意志が発生し、なにをどうつまむのかという“つまむ計画”が「ワーキングメモリー」として前頭前野に保存されます。

 そして、運動野の細胞が働くのですが、前の旧運動野ではなく、中心溝(→図参照)という溝の壁のところにある、表面には見えないヒトへの進化の過程で新しい運動野(→図では中心溝の後ろの壁にあるため、上からは見えない新運動野)の神経細胞が働きます。

 つまむ運動は、高等なサル(オマキザル、ニホンザル、チンパンジー)やヒトしかできません。

 にぎる運動は第1期(反射期)からできたのですが、つまむ運動は第3期(腰すわり期)から訓練すれば、できるようになります。

 旧運動野が働いて起こる把握運動は「握力把握」、新運動野からの把握運動
は「精密把握」といいます。

 私たちが道具(えんぴつ、はさみ、包丁、箸、楽器など)を使うときは、新運動野が働きます。最初は上手に道具が使えるよう、いろいろなものをうまく使って運動の訓練をしなければなりません。やればやるほど、上手になります。