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企業再生 社長の決断

経験とカンの経営から一歩踏み出せ!(後編)

西山恭博 [税理士]
【第4回】 2009年11月11日
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 資本金1,000万円にして年間売上500万円。受託専門出版社・B社は創立10余年にして、このような惨憺たる業績に甘んじていた。研究者の論文を書籍にするというニッチな市場で、仕事は向こうからやって来ると踏んでいたA社長は、筆者に自ら営業するよう進言され、みごと売上を伸ばすことに成功。しかし、その先にも経営課題は山積していた……。中小企業に経営計画が必要な理由を考えてみよう。

【CASE2】 出版社 B社
・創業    1982年4月
・社員数   9人
・売上推移 559万円(1996年3月)→3,400万円(2008年3月)
・事業概要 個人書籍の受託出版


 「じつは、私が持っていった企画が好評でして……」

 50代にして初めて自ら営業活動を行ない、その努力が売上増という目に見える結果に結びついてきた喜びを、A社長は夢中で私に語り続ける。

中小企業だからこそ、
こまめに経営計画を見直そう

 たしかに、B社の売上は社長の営業努力によって着々と伸びて行った。だが、同社は、社長と奥さん、あとは経理を任された年配の女性が1人の合計3人で日々の業務を回している。

 編集作業を行なっているのは社長と奥さん。ところが、社長は日中営業に走り始めたため、編集作業は毎晩深夜までに及ぶようになった。また、当然仕事量が増えれば奥さんも臨戦体制で臨まざるを得ない。

 売上が伸びることは重要なことだが、見失いがちになるのはそこにかけるコストである。また、これまでB社では、資金繰りを社長の頭の中で行なっていたために、忙しさにかまけて資金の入出金の時期を把握せず、気がついたら支払いができないという事態に陥ってしまった。

 こうしたことを避けるためには、経営計画が不可欠である。私は社長から連絡を受け、早速経営計画の策定に取り掛かった。

 「売上は増えていますが、資金繰りは大丈夫ですか?」

 「外注費が増加していますが、1つひとつの仕事について個別に計算し、しっかり利益を確保していますか?」

 「売上や外注費、交際費、商品の原価等をグラフにすると次のようになります。売上の伸びに対して経費がかかりすぎていますね。決算まで時間があるので改善していきましょう」

 次々と質問し、決算までの利益確保についてアドバイスを行なう。企業は生き物だ。経営計画を立てて、現時点から決算日までのレールを引かなければよい経営はできない。

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西山恭博 [税理士]

中小企業の経営・税務のアドバイス、相続対策などを行なう税理士。大学でも実務家教員として教鞭をとり、生きた租税理論を展開。著書は「税理士になるには」(ぺりかん社)「経営シミュレーションによる税務・法務アドバイス(共著)」(新日本法規出版)など多数。日本税務会計学会委員ほか。


企業再生 社長の決断

低迷していた中小企業が再生へと舵を切る瞬間を、顧問税理士という立場で経営者と一緒に体験してきた著者が、特色ある再生事例をドキュメントで紹介。社長の経営判断は、いつどのように行なえばよいのかをリアリティをもって示唆する。

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