初女先生のおむすび、
初めて食べるとどんな味がする?

司会 思風先生はいかがでしょうか。

思風 わたしは、東京で感性論哲学のお話しをさせていただく場があるのですが、6年前に初女先生にお越しいただいて、初めて対談をさせていただきました。そのときに、初女先生がご自身で握られたおむすびを4個持ってきてくださって、食べさせていただいたんですが、ほんとうになんともいえないおいしさで……。

 握ってあるけれど、全体がやわらかく握ってあるものですから、中の梅干の酸味と塩味が周りを包んでいる海苔のあたりまでにじみ出ていて、上からパッとかんだだけで、たまらなくおいしいんですね。

酸味と塩味だけでなく、そのことによってお米の甘さがものすごく感じられて、こんなおむすびは食べたのは初めて! そういう感動を味わわせてもらいました。

ほんとうに母心で愛情を込めて握ったおむすびという感じがして、さすがにこれはすごいと思って。お話の途中でしたが3個いただいて、もう1個はこのまま全部食べたらもったいないなと思って、持って帰ってホテルで味わって、またすごいなって感動したんですけれども。

初女 それまでに5時間も講義されておられて、そのあとまた6時からあるっていうから、主催者の方に「食事の時間は?」と聞いたら、「入っていない」って。

 やはりごはんの時間に食べられなきゃ気の毒だなと思ったんですよ。それで一緒にいた『小さな森東京』の吉田紀美子さんに、「思風先生がごはんを食べないで次の集まりに出るんだって。おなかが空くんでないかね」って言ったら、紀美子さんも「それはダメだよね」って。

 だからおむすびをつくっておこうかと言って、おむすびをつくったんですよ。そうして思風先生に「これつくったんですが、召し上がりませんか」ってお持ちしたら、「いただく、いただく」って言ってお食べになったの。

 そうしたら2つ目も食べられて、そして3つ目までいったの。それでやっぱりつくってよかったね、って。
 何かひとつでもいいことをしてあげたいと思っても、なかなかできないけれど、この通りにタイミングがよくて喜んでもらえば何よりの喜びだよねって、わたしたちも満足しながら、この会に参加しました。

 そのようなことで、やっぱりこの集まりというのは形だけのことでなくて、やっぱり家族的な人たちのやり方ができているように思って、安心して出かけて参りました。

 思風先生はほんとうに真面目一徹で、そうかといってかたくないんですね。
 どんな話でも「そうそう」と聞いてくださって、「このことはどう考えますか」と尋ねると、その通り思風先生の考えをそのまま伝えてくださいますので、安心して何でもお話しすることができるんですね。