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中国は四川大地震をどう報じたか?
――新華社独占報道の功罪

2008年5月14日
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 5月12日(月)午後2時28分に四川省で発生した大地震は、800万人都市の成都からわずか100キロ離れたところで起きたため、確認されただけでもすでに約1万人の死者を出している。

 四川省でのフィールドリサーチの経験もあるコロラド大学の米国人研究者によると、被害者の数が5万人~15万人に膨れ上がるだろうという見方もある。人民解放軍も震源地にたどり着くのに苦労しているほどで、被害の全貌は現時点では明らかになっていない。7000人の死者を出したといわれる北川県の建造物の80%は崩壊したとの報道すら流れている。

 では、ここ中国では今どういう映像が流れているのか。じつは四川チャンネルをつけても、CCTV(中央テレビ)をつけても、同じものばかりだ。中国共産党のプロパガンダ部(宣伝部)が中国最大のニュース作成配信能力を誇る新華社を通しての報道しか許していないためらしい。

 12日4時過ぎに胡錦濤国家主席が温家宝総理を現地に向かうように指示した模様で、いわゆるエア・フォースワンの機上で温家宝が講話を発表するシーンがまず繰り返し流れる。機内のデスクで、温家宝を囲んでブレーンがなにやら作戦を練っている様子だが、この時の温家宝はまだ現場を見ていないので、顔色も悪くない。

 これに続いて今度は、スニーカー姿の温家宝が瓦礫の下に生き埋めになった子供たちにメガホンで話かける姿が映る。これは悲惨だ。雨の中、被害者の親族は泣いているし、「もう少しで救援隊があと何人きますから、最後まであきらませんから」と現場を励ましている。徳陽市では学校が5つも崩壊したと報道されており、人道的に最悪の事態である。

地震で開けなくなった
中国地震局のサイト

 北京オリンピックまであと4ヵ月を切り、重苦しい雰囲気の中の大災害だが、ひとついえるのは温家宝が今立ち向かう困難は、ともすればチベット動乱から始まった中国に対する国際世論の悪化を緩和する効果があるかもしれないということだ。

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