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安東泰志の真・金融立国論

創業263年老舗企業を再生させたPEファンドの威力

安東泰志 [ニューホライズン キャピタル 取締役会長兼社長]
【第59回】 2015年7月7日
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企業再生などでの活躍によって、PEファンドへの理解がようやく進んできた

 プライベート・エクイティ・ファンド(PEファンド)が、にわかに注目を集め始めている。その背景には、資金調達側の意識変化と、資金運用側のニーズがある。これまで日本ではあまり日の目を見てこなかったPEファンドに資金が集まるようになれば、産業の新陳代謝が進むことにもなる。

 筆者は、既に連載第4回「プライベート・エクイティ・ファンド抜きの金融立国は可能か」にて、欧米におけるPEファンド発展の歴史と現状を踏まえてその重要性を説明しているが、今回は、最近なぜようやく日本でもPEファンドが注目されるようになってきたのかについて考えてみたい。

“得体の知れないもの”だった
日本でのファンドのイメージ

 PEファンドは、いわゆる「ファンド」の一種である。しかし、これまでの日本では、「ファンド」という言葉はあまり良いイメージで捉えられていなかったのではないだろうか。それには大きく2つの理由がある。

 第一に、高度成長期以来、日本では銀行、それも商業銀行こそが産業金融の主役であったため、それ以外の金融機能を「格下」と考える国民が多かったことだ。当の銀行員にも一種の「選民意識」が強かったと言ってよかろう。現に一流と言われる大学を出て銀行に就職するのは典型的なエリートコースと見られてきた。

 銀行は、強いローンパワー(融資をしているという優越的地位)を持ち、持ち合い株式も保有し、OBを送り込むなど、企業の意思決定に対する影響力は強大であった。企業のガバナンスは、実質的には銀行が担っていたと言っても過言ではない。

 証券・ノンバンクでさえ格下に見られる風潮がある中、ましてや「ファンド」などという得体の知れないものは豆粒のようにしか考えられていなかったのである。企業も、そのファイナンスをファンドに頼るなどという意識は微塵も持っていなかったと言える。

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安東泰志 [ニューホライズン キャピタル 取締役会長兼社長]

東京大学経済学部卒業、シカゴ大学経営大学院(MBA)修了。1981年に三菱銀行(現三菱東京UFJ銀行)入行、1988年より、東京三菱銀行ロンドン支店にて、非日系企業ファイナンス担当ヘッド。90年代に英国ならびに欧州大陸の多数の私的整理・企業再生案件について、参加各行を代表するコーディネーターとして手がけ、英国中央銀行による「ロンドンアプローチ・ワーキンググループ」に邦銀唯一のメンバーとして招聘される。帰国後、企画部・投資銀行企画部等を経て、2002年フェニックス・キャピタル(現・ニューホライズンキャピタル)を創業し、代表取締役CEOに就任。創業以来、主として国内機関投資家の出資による8本の企業再生ファンド(総額約2500億円)を組成、市田・近商ストア・東急建設・世紀東急工業・三菱自動車工業・ゴールドパック・ティアック・ソキア・日立ハウステック・まぐまぐなど、約90社の再生と成長を手掛ける。事業再生実務家協会理事。著書に『V字回復を実現するハゲタカファンドの事業再生』(幻冬舎メディアコンサルティング 2014年)。
 


安東泰志の真・金融立国論

相次ぐ破綻企業への公的資金の投入、金融緩和や為替介入を巡る日銀・財務省の迷走、そして中身の薄い新金融立国論・・・。銀行や年金などに滞留するお金が“リスクマネー”として企業に行き渡らないという日本の問題の根幹から目をそむけた、現状維持路線はもはや破綻をきたしている。日本の成長のために必要な“真”の金融立国論を、第一線で活躍する投資ファンドの代表者が具体的な事例をもとに語る。

「安東泰志の真・金融立国論」

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