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野口悠紀雄 未曾有の経済危機を読む

株価は予測する! 経常利益マイナス60%、法人税収マイナス60%の衝撃

野口悠紀雄 [早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問]
【第14回】 2009年3月14日
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 日本企業の収益は、製造業の輸出産業を中心として、総崩れの状態にある。2008年秋に発表された決算見通しで、個別企業ベースの厳しい状況が明らかになったが、最近になって、マクロ的な計数でも日本企業の収益が激減している状況が明らかになってきた。

 財務省が09年3月5日に発表した08年10~12月期の法人企業統計(資本金1000万円以上の法人の仮決算計数によると、企業の経常利益は前年同期に比べて64.6%減少し、5兆533億円となった。減益率は、第1次石油危機後の74年に記録した過去最悪値に並ぶ。

 なかでも深刻な状況にあるのは製造業で、経常利益は前年同期比94.3%減の3976億円となり、比較可能な55年4~6月期以降で最大の下げ幅を記録した。業種別では、輸出産業が大きく落ち込んだ。自動車は4553億円の赤字となり、輸送用機械全体でも大幅な赤字となった。情報通信機械も半導体の販売が不調だったこと等により、3995億円の赤字に転落した。石油・石炭も、在庫の評価減を計上したことで4338億円の赤字になった。

 このため、09年3月期決算は、きわめて深刻な姿になると予想される。新光総合研究所の調査(08年4~12月期決算を発表した金融を除く1228社のデータ集計結果)によると、東京証券取引所第1部上場企業の09年3月期決算は、売上高が前年同期比6.5%減、経常利益が60.8%減、純利益が86.2%減と、大幅な減益になると予想される。

株価は企業収益予想を
正しく織り込んでいるか?

 では、株式市場は、こうした状況を織り込んでいるだろうか? 07年夏頃の日経平均株価は、1万8000円程度だった。その6割減は7200円程度である。他方で、09年3月中旬の日経平均株価は、7200円程度である。したがって、07年夏頃の株価が直近の決算である08年3月期決算の数字を正しく予想していたと考えるなら、現在の株価は、09年3月期の決算をほぼ織り込んでいると解釈することができる。

(もちろん、こうした解釈には、かなり恣意的な部分もある。上の解釈の前提は、「07年夏頃の株価は直近の決算である08年3月期決算の数字を正しく予想していた」ということだ。この前提は、それほどおかしくないものとは考えられるものの、実際にそうであったのかどうかは、確かめようがない)

 ところで、日経平均株価は、08年6~8月にはほぼ1万3000円台であったが、9月に急落し、10月の初めに8000円台になった。その後は、7000~8000円程度の水準で、大きな動きは示していない。

 つまり、08年9月(リーマンブラザーズが破綻した時点)で、人々の将来予想が急激に悪化し、そのときに形成された予想が現時点までほぼ継続していると解釈することができる。

 過去の計数との中期的な比較でも、株価は企業収益の落ち込みを正しく反映していると考えられる。02年の経常利益は、07年の計数の約52%だ。他方で、02年夏頃の日経平均株価はほぼ1万円程度であった。これは、07年夏頃の1万8000円の55%程度であり、株価についての比率とほぼ一致している。

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野口悠紀雄 [早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問]

1940年東京生まれ。63年東京大学工学部卒業、64年大蔵省入省、72年エール大学Ph.D.(経済学博士号)を取得。一橋大学教授、東京大学教授、スタンフォード大学客員教授、早稲田大学大学院ファイナンス研究科教授などを経て、2011年4月より早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問、一橋大学名誉教授。専攻はファイナンス理論、日本経済論。主な著書に『情報の経済理論』『財政危機の構造』『バブルの経済学』『「超」整理法』『金融緩和で日本は破綻する』『虚構のアベノミクス』『期待バブル崩壊』等、最新刊に『仮想通貨革命』がある。野口悠紀雄ホームページ

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