はじめまして、山元浩二と申します。

 私は企業の人材育成をお手伝いしているコンサルタントです。この連載のテーマはもちろん私の本業である「人材育成」がテーマになります。しかし1点だけご留意いただきたいことがあります。

人材育成術は、グローバル=大企業と
ローカル=中小企業ではまったく違う!

宮崎県の小さな雑貨店は、<br />大型SC進出にいかに立ち向かったかやまもと・こうじ
1966年、福岡県飯塚市生まれ。日本で随一の人事評価制度運用支援コンサルタント。日本社会を疲弊させた成果主義、結果主義的な人事制度に異論を唱え、10年間を費やし、1000社以上の人事制度を研究。会社のビジョンを実現する人材育成を可能にした「ビジョン実現型人事評価制度®」を日本で初めて開発、独自の運用理論を確立した。代表著書に累計20刷のロングセラーを誇る『小さな会社は人事評価制度で人を育てなさい!』(KADOKAWA/中経出版)などがある。日本人事経営研究室(株)HPはこちら

 ダイヤモンド・オンラインでは超一流の専門家の方が寄稿されています。その中で人材がテーマの連載ですから、これをいまお読みの方で、時流に沿ったこんな問題意識をお持ちかもしれません。

 「世界に通用するグローバル人材の育成をどうすればいいのか?」
 「eラーニングを活用し、効果的育成を図るべき」
 「女性も外国人も多彩な人材がいるダイバーシティマネジメントが我が社の課題だ」――。

 ごめんなさい。最初に謝っておきます。そうした最先端の課題を抱えるグローバルな大企業の関係者には申し訳ありませんが、この連載にそのあたりのことを期待するとアテが外れます。

 こうした課題は一部の企業が確かに直面しています。しかし、「その他大勢」の企業はどうでしょうか。

 我が国に386.1万ある会社のうち、99.7%にあたる385.3万が「中小企業」です。その9割近い企業は、いわゆる「小規模企業」と位置付けられています(製造業等で従業員20人以下、商品・サービス業で同5人以下)。働く人の7割が中小、4分の1が小規模企業の従業員です。

 こうした中小企業は大手と違って、資金力が乏しく、目の前の仕事に精一杯。規模が小さくなるほど、「仕事を休止してまで教育する余裕がない」のが実情です。必然的に「習うより慣れろ」「スキルは盗んで身につけろ」という具合に個人や現場任せに陥ります。

 職人気質の名物社長が率いる従業員数人の町工場と、六本木ヒルズにオフィスを構え海外の顧客を相手に仕事をする有名企業では、求められる人材も人の育て方も違います。経営コンサルタントの冨山和彦さんが昨年、「Gの世界(グローバル経済圏)とLの世界(ローカル経済圏)とを分けて成長戦略を定めないと地方創生は難しい」とご指摘されていましたが、人材育成にも同じことが言えるのです。