株式レポート
7月8日 18時12分
マネックス証券

本日の急落について - ストラテジーレポート

本日の東京株式市場で日経平均株価は大幅反落。終値ベースで6月18日以来、およそ3週間ぶりに節目の2万円を下回り、5月15日以来、ほぼ2カ月ぶりの安値で終えた。下げ幅は2013年6月13日(843円94銭)以来、2年1カ月ぶりの大きさだった。ギリシャの金融支援を巡る協議の先行き不透明感に中国株式相場の下落が続いていることなど悪材料が重なり、全面安となった。

悪材料が重なったと書いた。確かにギリシャ懸念もあるにはあるが、今日の下げは中国株に対する不安が理由のほとんどであると思う。「不安」というより「不信」である。売買停止というのが最悪の措置である。市場というのはいくらボラティリティがあっても耐えられるが、流動性が枯渇したら終わりである。企業が申請して売買を止めているのだが、それを当局が容認しているわけで、ここまでいくと市場の体(てい)をなしていない。市場で自由な売り買いを制限すれば、疑心暗鬼しか残らない。売れるものはなんでも売ろうと、余計に狼狽売りを誘うだけである。

これまで中国政府がさまざまな株価対策をとってきたが、一向に下げ止まらない。それは別に不思議でもなんでもない。過去の歴史をみても人為的な対策で株価が下げ止まったことはない。1929年、米国で起きた株価大暴落「暗黒の木曜日」。JPモルガンとギャランティ・トラストをはじめとする大手米銀5行が会合を持ち、資金を集め相場を下支えする対策を打ち出した。NYの株価は持ち直したものの、それは一時的だった。その後も下げ続け、買い支え対策が打たれてから5割も下げてようやく下げ止まった。昭和40年の証券不況に向かう当時の日本市場も同じ轍を踏んだ。1964 年に都銀 12 行、長信銀 2 行、証券 4 社が出資し日本共同証券が設立されたが株の下落は止まらず、翌65 年には、日本証券保有組合が設立されたが、これも効果はなかった。90年代に日本政府がおこなったPKO(株価維持政策)も同様である。株ではないが、英国の中央銀行、イングランド銀行が英ポンドを買い支えようとした時もジョージ・ソロスに売り崩されてしまった。

相場というのは下がるとこまで下がらないと止まらない。投げるひとが全員ぶん投げて底が入るわけだが、売買停止では売るに売れない。これでは中国株の底入れがいつになるか、まったく目途がたたなくなった。それが今日の日本株急落の背景である。

中国株がどこで止まるか、誰にもわからない。ただし、目の子では上海総合指数の3500ポイントというのは大きな節目だろう。200日移動平均もこの水準にある。3000ポイントに乗せてしばらくもみ合った後、上昇が加速してきたのも3500を超えてからだ。上述の通り、投げ切っていないから、まだ下値はある。よって3500という節目を切って3000あたりで一旦、底をつけるのではないか。

問題は2つ。ひとつはこの中国株のバブル崩壊が中国の実体経済を反映したものかという点である。僕が思うに、中国の株式市場は個人投資家の投機市場であり、経済実態を反映したものではない。実体経済を把握する統計の信頼性に問題があるのでなんとも言えないが、PMI等を見る限りでは景気減速は一服している。来週発表されるGDPが焦点となるだろう。そして万が一、本当に株安が中国景気を冷やすと当局が思うなら、利下げだけでない景気テコ入れ策が打たれるだろう。

もうひとつは巷間言われるインバウンド消費に影響がでるのではないか、という点だが、中国人は中国株高で潤ったから日本で爆買いしているわけではない。無論、一部には株高の資産効果もあるだろう。だがインバウンド消費を促進しているのは単純に円安効果である。さらに言えば、株より資産効果に影響が大きい不動産価格は下げ続けてきた。それにもかかわらず、爆買いは起きていたのだから、株安だけを取り上げてインバウンド消費に翳り、というのは悲観論が過ぎるだろう。そして、ここがポイントだが、中国の富裕層が多く住む三大都市の不動産価格は昨年の秋には底を打ち、今年の春から上昇に転じている。これが中国の資産市場のトレンドだろう。不動産取引が規制されたこともあり、株価のほうは簡単に大衆が売買できることから投機の対象とされ、過熱した。それが弾けただけである。

日本株の注意点は国内景気指標の悪化である。海外の悪材料ばかり目が向きがちだが、足元出てきている国内景気指標は冴えないものが続いている。鉱工業生産も下振れ、実質賃金も25カ月マイナス、今日発表された景気ウォッチャー調査も7カ月ぶり悪化。日本株のもろさは国内の指標の悪化も実はボディブローのように効いていると思う。そうした状況で明日の寄り前に発表される5月の機械受注は、前月比マイナス5%と3ヵ月ぶりに減少が予測されている。設備投資は、日銀短観で11年ぶりの高い伸びとなったが、それはあくまで「計画」である。機械受注は設備投資の先行指標で、今回は、良好な設備投資計画が示された後、初めて出てくるハードデータだから、市場の注目も高い。もともと反動減が予想されているので予想の範囲内のマイナスなら影響はないだろうが、大幅マイナスとなると、ただでさえ悪化している市場のセンチメントを一段と冷やすことになりかねないので注意が必要である。

日経平均は、取引時間中は一目均衡表の雲の下限で下げ止まっていたが大引けで一段安して雲を下抜けた。狼狽売りだからテクニカル的な目途は役に立たない。冷静になればバリュエーション面ではいい水準である。予想PERは日経予想ベースで15倍台、クイックコンセンサス・ベース14倍台だ。待ちに待った絶好の押し目であり、下値を拾う動きもそろりと出てくるだろう。

セオリーでは「落ちてくるナイフをつかもうとするな。床に刺さったところを引き抜け」であり、急落途中の買いは慎めとされる。だが、最近の値動きの速い相場ではいいところを拾えない可能性がある。ここから3回に分けて買い下がるくらいのつもりで、第一弾の押し目買いを入れてもいい水準と考える。

■ご留意いただきたい事項
マネックス証券(以下当社)は、本レポートの内容につきその正確性や完全性について意見を表明し、また保証するものではございません。記載した情報、予想および判断は有価証券の購入、売却、デリバティブ取引、その他の取引を推奨し、勧誘するものではございません。当社が有価証券の価格の上昇又は下落について断定的判断を提供することはありません。
本レポートに掲載される内容は、コメント執筆時における筆者の見解・予測であり、当社の意見や予測をあらわすものではありません。また、提供する情報等は作成時現在のものであり、今後予告なしに変更又は削除されることがございます。
当画面でご案内している内容は、当社でお取扱している商品・サービス等に関連する場合がありますが、投資判断の参考となる情報の提供を目的としており、投資勧誘を目的として作成したものではございません。
当社は本レポートの内容に依拠してお客様が取った行動の結果に対し責任を負うものではございません。投資にかかる最終決定は、お客様ご自身の判断と責任でなさるようお願いいたします。
本レポートの内容に関する一切の権利は当社にありますので、当社の事前の書面による了解なしに転用・複製・配布することはできません。当社でお取引いただく際は、所定の手数料や諸経費等をご負担いただく場合があります。お取引いただく各商品等には価格の変動・金利の変動・為替の変動等により、投資元本を割り込み、損失が生じるおそれがあります。また、発行者の経営・財務状況の変化及びそれらに関する外部評価の変化等により、投資元本を割り込み、損失が生じるおそれがあります。信用取引、先物・オプション取引、外国為替証拠金取引をご利用いただく場合は、所定の保証金・証拠金をあらかじめいただく場合がございます。これらの取引には差し入れた保証金・証拠金(当初元本)を上回る損失が生じるおそれがあります。
なお、各商品毎の手数料等およびリスクなどの重要事項については、マネックス証券のウェブサイトの「リスク・手数料などの重要事項に関する説明」(※)をよくお読みいただき、銘柄の選択、投資の最終決定は、ご自身のご判断で行ってください。
((※)https://info.monex.co.jp/policy/risk/index.html)

■利益相反に関する開示事項
当社は、契約に基づき、オリジナルレポートの提供を継続的に行うことに対する対価を契約先金融機関より包括的に得ておりますが、本レポートに対して個別に対価を得ているものではありません。レポート対象企業の選定は当社が独自の判断に基づき行っているものであり、契約先金融機関を含む第三者からの指定は一切受けておりません。レポート執筆者、並びに当社と本レポートの対象会社との間には、利益相反の関係はありません。

(マネックス証券)


マネックス証券
株式売買手数料(指値) 口座開設
10万円 30万円 50万円
100円 250円 450円
【マネックス証券のメリット】
日本株投資に役立つ「決算&業績予想」、信用取引ではリスク管理に役立つ信用取引自動決済発注サービス「みまもるくん」が便利。米国株は最低手数料5ドル(税抜)からお手軽に投資が可能で、米国ETFを通じて世界中に分散投資できる。投資先の調査、リスク管理、リスク分散など、じっくり腰をすえた大人の投資ができる証券会社と言えるだろう。一方、短期・中期のトレードに役立つツールもそろっている。逆指値ほか多彩な注文方法が利用できる上に、板発注が可能な高機能無料ツール「新マネックストレーダー」が進化中だ。日本株、米国株、先物取引についてロボットの投資判断を日々配信する「マネックスシグナル」も提供しており、スイングトレードに役立つ。
【関連記事】
◆AKB48の4人が株式投資とNISAにチャレンジ!「株」&「投資信託」で資産倍増を目指せ!~第1回 証券会社を選ぼう~
◆マネックス証券おすすめのポイントはココだ!~日本株手数料の低さ、ユニークな投資ツールが充実しているネット証券大手
マネックス証券の口座開設はこちら!

 

株主優待名人の桐谷さんお墨付きのネット証券!最新情報はコチラ!
ネット証券口座人気ランキングはコチラ!
NISA口座を徹底比較!はコチラ
株主優待おすすめ情報はコチラ!
優待名人・桐谷さんの株主優待情報はコチラ!

 

Special topics pr

ZAiオンラインPickUP
[クレジットカード・オブ・ザ・イヤー2017]2人の専門家が最優秀クレジットカードを決定! 2017年版、クレジットカードのおすすめはコレ! おすすめ!ネット証券を徹底比較!おすすめネット証券のポイント付き その 【株主優待】最新の株主優待情報更新中! アメリカン・エキスプレス・ゴールド・カードは、 本当は“ゴールド”ではなく“プラチナ”だった!? 日本初のゴールドカードの最高水準の付帯特典とは?
ランキング
1カ月
1週間
24時間
じぶん銀行住宅ローン 「アメリカン・エキスプレス・ゴールド・カード」付帯サービスはプラチナカード顔負け!最強ゴールドカード 実力を徹底検証 アメリカン・エキスプレス・ゴールド・カード
ダイヤモンド・ザイ最新号のご案内
ダイヤモンド・ザイ最新号好評発売中!


 

9月号7月21日発売
定価730円(税込)
◆購入はコチラ!

Amazonで「ダイヤモンド・ザイ」最新号をご購入の場合はコチラ!楽天で「ダイヤモンド・ザイ」最新号をご購入の場合はコチラ!


【攻め&守りの高配当株&株主優待ベスト117】
攻めと守りで儲かる高配当株」の投資法
今が買い高配当株52銘柄を大公開
高配当株億を作った個人投資家のワザ
・27%超も!「株主優待」目的別ベスト117
・「優待+配当」の合計利回りランキング
確定拠出年金読者損益リアル白書
・17年上半期の投信上昇率ランキング
4年ぶりの買い場高利回りJリート
LINEなど5大ポイントの貯める&使うテク
定年後の5年間でトクする働き方
東芝など不祥事株の売り・買い診断
・東証1部昇格期待株を先回りで狙え!
不足する高齢者施設の問題点とは?

「ダイヤモンド・ザイ」の定期購読をされる方はコチラ!

>>「最新号蔵出し記事」はこちら!

>>【お詫びと訂正】ダイヤモンド・ザイはコチラ

Apple Pay対応のクレジットカードで選ぶ! Apple Payに登録して得する高還元率カードはコレ! 堀江貴文や橘玲など人気の著者のメルマガ配信開始! クレジットカードに関するクチコミ情報大募集中!