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日本の神さまと 上手に暮らす法 ― 神さまのいる毎日を過ごしませんか?
【第9回】 2015年7月11日
著者・コラム紹介バックナンバー
中村真

神社参拝のキホン、
あなたは知っていますか?

通算参拝数1万回の「日本の神さまと上手に暮らす法」の著者・尾道自由大学校長・中村真氏が「神さまのいるライフスタイル」を提案します! 日本の神さまを意識することで、心が整い、毎日が充実する。そして、神社巡りは本来のあなたに出会える素晴らしい旅だと伝えてくれます。
神社は好きだけれど、実は正しいマナーがわからない……そういう人は意外と少なくないよう。神社をライフスタイルに取り入れて行く前に、マナーをおさらいしてみましょう!

頭を下げて鳥居をくぐる

 神社の入口にあるものといえば鳥居です。
鳥居とは、僕たちが住む俗界と、神さまが住む神社とを区別する結界です。
僕は鳥居に入るときも、出るときも、頭を下げることにしています。頭を下げるというのは、日本人の基本的マナーと言っていいでしょう。

 一礼して鳥居をくぐって神社に入り、お参りをする。終了して帰るときには、鳥居の手前でもう一回、くるっとお社のほうを向いて、一礼してから鳥居をくぐって失礼します。
〈千本鳥居〉で世界的な名所にもなっている京都の伏見稲荷大社の鳥居は、およそ一万本。江戸時代から主に商人が奉納してきたといわれています。
 ここの鳥居の大きさは五号から一〇号まであり、必ずしも氏子でなくても奉納できるうえに、号ごとに値段もちゃんと明記されています。鳥居をよく見てみると、奉納した年月日と会社名などが刻まれており、知っている名前が見つかることもあります。
「鳥居をくぐるたびに一礼」といっても、伏見稲荷のように一万本もある鳥居で一万回お辞儀をするというのは無理があります。
〈一の鳥居〉〈二の鳥居〉〈三の鳥居〉というしっかり名前もついているものをくぐるときに、頭を下げるといいでしょう。

鳥居の“順番”も大切で、僕は一の鳥居から入ることにこだわっています

 たとえば島根県の出雲大社は、三の鳥居から入る人が非常に多くなっているのですが、僕はあえて遠回りして一の鳥居から入ります。
 駐車場に直結している出雲大社の三の鳥居は、たしかに行きやすい。まわりのお土産屋さんを見て、有名な巨大しめ縄を見て、すぐにお参りに行けます。ただし俗世からくっきり隔てられた気持ちになれるかといえば、便利なぶん、そうでもありません。
 その点、少し離れた一の鳥居は静かです。一礼して一の鳥居をくぐり、しばらくゆるやかな坂を上っていくと二の鳥居。そこも一礼してくぐると、松の木が何本も立ち並ぶ大社までの参道は、逆にゆるやかな下り坂になっています。

 この、「上って下る」というプロセスに、僕は意味を感じます。
 なぜなら、前述のとおり、出雲大社に祀られている〈大国主命〉はもともとの日本を指す葦原中国を治めていた国津神という神さまですが、その息子の代で天照大御神のような高天原に住む天津神に統治権を譲ります。国譲りをしたあとは〈黄泉の国〉をつかさどることになるため、出雲大社へのお参りは、生から死を疑似体験することでもあります。

 一の鳥居から二の鳥居までの上り坂でこの世を生き、二の鳥居から大社までの下り坂で、黄泉の国に向かう。生と死が一つに交わる神秘的な感覚を味わえる参道。考え抜かれた先人の智慧が込められたつくりだと感動します。
 逆に帰り道は、黄泉の国から坂を上って二の鳥居にたどり着き、そこから広がる美しい“この世の風景”に向かって一の鳥居までの坂道をゆっくりと下っていきます。こうして“黄泉がえり”を体感できるのが、僕にとっての出雲大社です。

 出雲大社に“二つの参道”ができたのは、明治時代以降のこと。
 出雲大社の両脇には川が流れており、片方が千家家、片方が北島家。両家とももともとは神さまをお迎えして儀式を行う〈国造〉という役割の家柄で、「今年は千家家、来年は北島家」と、順番に出雲大社の儀式を執り行っていました。それぞれにある〈神楽殿〉は、神さまをお迎えする施設です。

 ところが明治時代に神道と仏教を分けるという〈神仏分離令〉が出たとき、なぜか「一神社一国造にする。出雲大社については、千家家が宮司になってお祀りしなさい」と決まりました。そこで北島家は「出雲教」という神道教団を別途立ち上げ、出雲の土地、人、家屋を守る神さまを祀ることになりました。
 いまでは「出雲大社にお参りしたい」という全国から来る人たちは出雲大社へ、出雲の地元の人たちは出雲教のお社に行くという住み分けができています
「出雲大社=千家家」となったとき、注目が集まったのは千家家の神楽殿。四トンのしめ縄があるためです。そこで、訪れる人が便利なように、千家家は参道から離れた神楽殿近くに大きな駐車場をつくりました。こうして本来の参道と便利な参道、二つの参道ができたというわけです。

 一の鳥居付近にはお土産屋さんも甘味処もなく、ひっそりしています。一の鳥居をくぐってから本殿までは三〇分。遠いといえば遠いでしょう。しかしこの三〇分は、自分を高め、生と死を味わう時間として使えます。
 観光バスが到着する三の鳥居付近は対照的ににぎやかで、買い物も飲食もできます。本殿までわずか五分。しめ縄も見られますし、時間がない人には便利です。
 どちらがいい、悪いではなく、好みで選ぶといいでしょう。

 伏見稲荷大社や出雲大社を例にとりましたが、近所にある“行きつけの神社”には、おそらく鳥居は一つか二つ。一礼して神社を訪ね、一礼して神社を辞する。これだけ覚えておけば大丈夫です

◆今回の気付き
鳥居では一礼する

手水舎で身を清める

 禊という言葉を、あなたも聞いたことがあるでしょう。身を削ぐ、穢れを祓う、身をきれいにするといった意味です。
 神社にお参りに行くときに禊をするとは、本来、滝に打たれたり、または海に入ったりして穢れを祓うこと。しかし日常生活で神社に気軽に行くためには、滝に打たれたり海に入ったりするというのはあまりにもハードルが高い! そこで簡単に禊ができる施設として、神社には手水舎があります。水と柄杓が置いてある場所を、きっと見たことがあるはずです。

右手で柄杓を取って水をすくい、まず左手を、次に持ちかえて右手を清めます。さらに持ちかえ、もう一度左手に水を注いで口をゆすぎ、最後にもう一杯水をくんで柄杓を縦に立て、自分の両手も含めて柄杓ごと水を流します。元通りの位置に柄杓を戻して、お清めは終了です。

 文章で書くとこまごましていますが、やってみると簡単です。

 次回も引き続き神社へのお参りのマナーについてご紹介します。参道の歩き方から、神さまの前での「礼」まであなたはどのように行っているでしょうか?

◆今回の気付き
お参りのときは、手と口をきれいにする

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中村真 [尾道自由大学校長/「神社学」教授]

尾道自由大学校長。「神社学」教授。1972年東京生まれ。学生時代より世界中を旅したことで日本の魅力に改めて気づき、温泉と神社を巡る日本一周を3度実行。日本の魅力を再発見していく中で、とことん神社に心を奪われる。これまでに参拝した回数は1万回以上。自由大学にて教鞭をとる「神社学」は、初心者にも「わかりやすい」「面白い」と好評で、毎回満員の人気授業となっている。2013年には「尾道自由大学」を開校し、校長に就任。また、雑誌「ecocolo」や書籍を発行する出版社の代表を務め、現在はイマジン株式会社代表として、五感に響く出版、イベント、広告などのプランニングや、社会貢献プログラムなど様々な活動を展開している。神社検索アプリ「THE神社」を企画・制作・運営するなど、神さまのいるライフスタイルを提案することで、生きる希望を広めることを使命としている。


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