株式レポート
7月13日 11時26分
マネックス証券

中国本土市場 続伸でのスタートか ギリシャ情勢や中国第2四半期GDPに注目 - 中国株 Market Pick Up 今週の注目ポイント

先週の中国株式市場
明暗が分かれる 本土市場大きく反発した一方、香港市場は大幅続落

<先週の概況>

先週の中国株式市場は高安まちまちでした。ハンセン指数は週間で4.5%下落し、2万4,901ポイントで終了しています。一方、上海総合指数は週間で5.2%反発し、3,877ポイントとなりました。

先週の上海総合指数は、政府の様々な相場下支え対策発表が功を奏し、投資家心理が改善したことから下げ止まると急速に反発しました。ギリシャの懸念などから続落で始まったハンセン指数は、週後半に買い戻されたものの週間では大幅安となりました。

中国株式市場バリュエーション

業種別リターン

香港ハンセン指数採用銘柄 週間騰落率ランキング

<上昇>

先々週に発表された中国のパスポート保有者のトランジット・ビザ(乗り換え用の一時滞在査証)に関する規制緩和によって、マカオを訪れる中国本土客のカジノ出費が増えるとの思惑から、カジノの金沙中国(サンズ・チャイナ、ホテル・レストラン、1928)が堅調でした。また、相場全体が不安定となるなかでディフェンシブとされる小売関連株が買われています。なかでも、康師傅控股(ティンイー、食品、0322)が週間で2%近い上昇となっていたほか、中国蒙牛乳業(チャイナ・メンニウ、食品、2319)も週間で1%超上げました。

<下落>

金融関連の銘柄は軒並み軟調に推移しました。とりわけ、中国銀行(バンク・オブ・チャイナ、商業銀行、3988)が週間で約10%下げたほか、中国工商銀行(1398)も週間で8%超値下がりしています。また、香港交易及結算所(香港証券取、各種金融サービス、0388)も週間で8%近く下落しました。さらに、国際原油価格が週間で6%超安と大幅続落となったことから、中国海洋石油(CNOOC、石油・ガス・消耗燃、0883)が大きく売られ、週間で7%超下落しました。

先週発表された主な経済指標

7月9日 生産者物価(PPI、前年比) 6月 -4.8% 市場予想 -4.6%、前回 -4.6%

6月のPPI は4.8%下落し前月より低下しました。原油などの原材料価格が下落したことが主な原因だと考えられます。

7月9日 消費者物価指数(CPI、前年比) 6月 +1.4% 市場予想 +1.3%、前回 +1.2%

6月のCPIは前年比1.4%上昇し市場予想を上回りました。内訳をみると、食料を除くCPIが改善したほか、食料関連のCPIも大幅に改善しました。とりわけ、野菜(11.4%増)や豚肉(7%増)などの値上がりが目立ちました。また、税率の引き上げで煙草の価格は前年比6.7%上昇となりました。

今後発表される主な経済指標

7月13日 中国貿易収支 6月 市場予想 +567 億ドル、前回 +594.9 億ドル

       輸出 6月 市場予想 +1.0%、前回 -2.5

       輸入 6月 市場予想 -15.5%、前回 -17.6%

6月の中国の輸出は前年比1.0%の増加と、6月の輸入は15.5%減が予想されています。こうしたなか6月の貿易収支は567億ドルの黒字となり、前回から小幅に減少を見込まれます。

7月15日 固定資産投資(前年比) 6月 市場予想 +11.2%、前回 +11.4%

固定資産投資額は、農村部を除いた都市部の建築工事や設備工事費を集計したものです。不動産や鉄道関連の固定資産投資額の減少傾向が継続する限り、製造業、建設業などの固定資産投資が堅調に推移しても全体の固定資産投資額は伸び悩む可能性が高いと思われます。6月の固定資産投資額は前年比11.2%増と見込まれています。

7月15日 鉱工業生産(前年比) 6月 市場予想 +6.0%、前回 +6.0%

6月の中国製造業PMIが前月から横ばいとなったほか、内訳の生産指数も前月の52.9と変わりがないことから、6月の鉱工業生産も前月の同水準の6.0%増と見込まれています。

7月15日 国内総生産(前年比) 2Q 市場予想 +6.8%、前回 +7.0%

2015年第2四半期の国内総生産(GDP)は前年同期比6.8%の増加と見込まれています。特に不動産関連の固定資産投資と鉱工業生産が低迷する中で、世界経済の緩やかな回復による中国純輸出の改善と国内消費の伸びはやや限定的で、中国第2四半期のGDPが一段と減速するのは避けられそうにありません。ただ、政府は安定成長するために、積極的な財政政策(財政支出の回復や第2弾の地方債務の借り換えなど)と金融政策(度重なる利下げや預金準備率の引き下げ)に踏み出しており、これが経済の短期的な支えとなりそうです。こうしたなか、第2四半期の中国GDPは6.8%増と予想されています。中国政府は2015年のGDPの成長目標を7.0%としていますが、第2四半期はそれを下回る可能性がありそうです。

マーケットビュー
―中国本土市場 続伸でのスタートか ギリシャ情勢や中国第2四半期GDPに注目―

中国本土市場では上海総合指数が1週間で5.2%高と4週ぶりに急反発しました。4日に大手証券21社による買い支えなどの株価支援策が発表されたことを好感して週初は反発スタートとなったものの、投資家心理が改善していなかったことからパニック的な売りが膨らみ、上海総合指数は7、8日と大幅に下落しました。その後、政府が引き続き様々な株価対策を打ち出したこと(詳細は付録に参考)でセンチメントの改善につながりました。ジム・ロジャーズ氏の中国株買い報道も好感され、10日には1週間ぶりに3800ポイント台を回復しました。

政府の様々な相場下支え対策発表がようやく功を奏した中で、投資家心理が明らかに改善していることから、中国本土市場は今週も回復が続きそうです。12日には、公安省の孟慶豊次官が率いる株式空売り調査チームが株価指数先物を使い相場操縦をしていた証拠を掴んで調査を進めているとの報道もあり過度な空売りが一段とやりにくくなるとみられるうえ、地方融資プラットフォーム向けの2000億元(約4兆円)のインフラ投資支援計画(経済観察報)を行うとの観測も相場の支えとなりそうです。なお、上海証券取引所と深セン証券取引所に上昇する銘柄のうち、一時は半分以上が取引停止となりました。7月13日に358社は取引が再開したものの、依然として1024社(約4割)は取引が停止したままとなっています。

香港市場ではハンセン指数が1週間で4.5%安と4週続落しました。ギリシャ問題や中国本土株の大幅下落が嫌気され、週明けから売り込まれたものの、週後半にやや持ち直す展開となりました。中国の政府機関や企業が総がかりで市場の下支えに動いたことで9日に5営業日ぶりに大幅反発となったハンセン指数は、中国政府が公安まで動員して悪質な空売りを取り締まる方針を示したことを好感し週末も足元で大きく売られていた銘柄を中心に買い戻しが入り2%高となりました。

週末のユーログループの会合でギリシャ問題が解決しなかったことから、ギリシャのユーロ圏離脱懸念が依然として燻っており、今週のハンセン指数は反落でのスタートとなりそうです。週後半のハンセン指数はギリシャ情勢を睨みながらの展開となりそうです。水曜日までにギリシャ議会が法制化の改革案ができれば、数ヶ月程度は事態が先送りされることが可能となる一方、改革案ができなければ、ユーロ離脱の可能性が高まるとみられます。

フィナンシャル・インテリジェンス部 林 宇川(Tony Lin)

付録

7月4日、中国の大手証券会社21社が総額1200億元(約2兆4000億円)以上を株式投資にあてることを柱とする株価の下支え策を発表しました。

7月5日、中国政府系の金融持ち株会社、中央匯金投資が株式市場で上場投資信託(ETF)を買い入れたと発表し、「今後も市場操作を継続する」と表明しました。中国証券監督管理委員会(証監会、CSRC、日本の金融庁に相当)が信用取引関連の株券・資金貸借を手掛ける中国証券金融の資金規模拡大を決定、中国人民銀行(中央銀行)が各種手法を通じて中国証券金融の流動性(特に信用取引の流動性)確保を支援することとなりました。加えて、証監会が当面の新規株式公開(IPO)社数を大幅に減らすことや、株価指数先物を利用した悪意のある空売りに対して厳正な処分を行うことなどを明らかにしました。

7月6日、李総理が「経済の健全、持続的な発展を促すため、我々は様々なリスクやチャレンジに対処する自信と能力を持っている」と明言しました。

7月8日、中国証券監督管理委員会(証監会、CSRC、日本の金融庁に相当)が今朝、「取引の正常化のため、中国証券金融はブルーチップ株の取引の安定を守ると同時に、中小株の買い支えに力を入れる」と発表したほか、保険監督管理委員会(保監会、CIRC)も保険企業による優良銘柄への投資規制の緩和を発表しました(単一銘柄への投資上限を四半期末時点の資産総額の5%から10%に拡大し、一定の条件を満たした保険会社を対象に、資産全体に占める株式資産の比率上限をこれまでの30%から40%に引き上げる)。また、中国証券報が同日付け朝刊で「銀行がアンブレラ信託への融資を再開する」と報じたことに加え、中国人民銀行(中央銀行)が、国有金融機関の中国証券金融(証金公司)が債券発行などにより流動性を高めることを積極的に支援すると発表しました。さらに、中国金融先物取引所が同日、中証500株先物に対するヘッジ以外の売りの担保金率を10%から20%に引き上げ売却を困難にする措置を発表しました。夜には、証監会が上場企業のマネジメントによる6カ月間の自社株売りを禁止すると発表しました。共産党中央委員会の機関紙である人民日報も、「株価対策はシステミックリスク防止が目的で、市場は我々の国家に対する自信次第だ」との記事を掲載しました。

7月9日、中国銀行業監督管理委員会(銀監会)は、資本市場の持続的で安定した発展を促進するため、銀行業金融機関に4項目の措置を打ち出しました:
①銀行の満期となった株式担保貸付について顧客との間で、期限の合理的な変更や、担保率が契約の規定を下回った場合の担保物の調整を認め、株安の企業資金繰りへの悪影響軽減を図る。
②銀行が顧客と協議し、証券投資のリスク事前警告ラインと売却ラインを合理的に調整することとし、自動的な株式売却の抑制を図る。
③銀行が中国証券金融と提携し、銀行間融資を提供することを奨励する。
④銀行が自社株を買い戻す上場企業に担保融資を提供し、企業の自社株買いを促し株価下支えを図る。
また、中国の主要金融経済週刊誌のオンライン版である財経ネットが、政府系ファンドである中央匯金が2000億元(約4兆円)でアクティブ運用型の投信信託を購入すると報じたほか、中国の国営通信社である新華社は、公安部(警察)が証監会に立ち入り、違法な空売り行為に関する調査を行うと報道しました。

7月10日、中国証券登録決済会社が8月1日から上海と深セン取引所の取引手数料を引き下げることを発表しました。

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