先日、ワシントンに出張で行ったら、111年ぶりの豪雪に見舞われた。米国の首都でありながら、道路には動けなくなった自動車が放置され、雪に埋もれていた。

 ブリザードが激しかった2月10日は、タクシーはほとんど営業しておらず、レストラン、商店も休業し、ゴーストタウン状態だった。

 ホテルのレストランの営業が終わると、ほかに食事のできる場所を見つけるのは大変である。雪をかき分けたどり着いたマクドナルドで食べたハンバーガーが、悲しいかな、妙にうまかった。

 ホテルの近くにあった銀行の入り口には、「大雪のため、今日は早い時間に店舗を閉めます。明日は営業しないでしょう」との5日時点の張り紙があった。10日になっても、そのままの状態だ。

 日本であれば、大地震が起きても営業できるように監督官庁は金融機関にコンティージェンシープランを用意させているだろう。しかし、米国人はこういったときは無理をしない。

 従業員は仕事よりも家族が大事だ。「銀行は決済システムの根幹だから、必ず営業しなければならない」という使命感はあまりないようである。

 11日はようやく晴れたため、何人かの金融関係者に話を聞くことができた。オバマ政権が1月に突然発表した金融規制改革案「ボルカープラン」に対しては、ウォール街が猛烈なロビー活動を行っており、部分的な採用にとどまるのがいいところではないかという観測が増えていた。