ダイヤモンド社のビジネス情報サイト
Diamond Weekly 編集部デスク発

日本の「市場」を考える(後編)

週刊ダイヤモンド編集部
【第21回】 2008年3月28日
著者・コラム紹介バックナンバー

 「取引所」も「会社」なので、自動車メーカーやら製薬会社(とか、なんでもいいけれど)と同じく買収や合併は当然ある。

 というか、並みの産業が裸足で逃げ出すくらい合従連衡の動きは激しい

 つい最近も、先物取引所で世界最大のシカゴ・マーカンタイル取引所(CME)が、ニューヨーク商業取引所(NYMEX)の買収に踏み切った。

 そのほか、ざっと挙げていく。

・現物株で世界最大のニューヨーク証券取引所(NYSE)は、欧州最大の証券取引所「ユーロネクスト」と合併。

・ドイツ取引所は。世界2位のデリバティブ(先物・オプション)取引所「ユーレックス」を買収。

・米国の新興市場「NASDAQ」は、ロンドン証券取引所買収に失敗。

 正しく「グローバル」である

 NYMEXを買収したCMEは、すでにシカゴ商品取引所(CBOT)を傘下に収めており、目下、中国の取引所との連携強化も模索しているといわれる。拡大志向は飽きることを知らない。

 で、日本はどんなもんでしょう?。

 現物株では東京証券取引所が世界2位である。以上――ってな感じである

 世界の先物取引所上位30を見ると、CMEとCBOT、NYMEX連合が断トツ。以下、ベストテンにはドイツ(ユーレックス)、ブラジル、ロンドン、インド、メキシコ、南アフリカ、中国といった顔ぶれが続く。

 日本勢は、大阪証券取引所が17位、東京工業品取引所22位、東京金融先物取引所24位というていたらく。南アフリカや中国はもちろん、韓国取引所、シドニー先物取引所(豪州)にも劣る

 しかも、欧米の取引所では「現物株」と「デリバティブ」の垣根が急速になくなりつつある。ところが、日本では、金融先物は金融庁、商品先物は経済産業省、穀物関係は農林水産省というように、所管官庁も規制業法も縦割りだ。

 こんな有り様で、世界を駆け回る投資マネーを呼び込めるはずもない。

 取引所の収益性、将来性は、現物株からデリバティブに急速にシフトしている。複雑な取引を瞬時に処理するために、世界の取引所は巨額のシステム投資を費やして電子化を進めている。

 現物株で世界2位といっても、東証の将来が明るいわけでは決してない。まして、東証システムの脆弱性は知る人ぞ知るところ。日本は、「市場」というインフラに重大な欠陥を抱えているのだ

 結論。

日本に取引所は3つも4つも要らない。極論をいえば、東証だけで十分ではなかろうか。大証も東京金融先物取引所も東京工業品取引所も、東証という持ち株会社の傘下にぶら下げて再編し、システム投資力を高めるべきだ。

 前回、日本には新興市場が6つあると書いた。東証マザース、ジャスダック、札証アンビシャス、名証セントレックス、大証ヘラクレス、福証Qボード。狭い日本に、こんなに多くの新興市場は必要ない。

 競争原理が働かなくなる、という反論は当然あるだろう。しかし、取引所に関して言えば、この島国のなかで競争原理を働かせる意味などない。

 世界中の投資マネーを取り込むにあたって、闘うべき相手は海外にいる。拱手傍観を決め込めば、CMEやNYSE、ユーロネクストとの格差は広がる一方となり、確実に国益を損なう。

もっと、日本の「市場」について考えよう

(『週刊ダイヤモンド』副編集長 藤井一)

前編を読む

関連記事
スペシャル・インフォメーションPR
クチコミ・コメント

DOL PREMIUM

PR

経営戦略最新記事» トップページを見る

最新ビジネスニュース

Reuters

注目のトピックスPR

話題の記事

週刊ダイヤモンド編集部


Diamond Weekly 編集部デスク発

『週刊ダイヤモンド』編集部デスクによる、リレー連載。特集や誌面ではなかなか取り上げられる機会が少ないテーマを取り上げ、鋭い切り口でお届けします。

「Diamond Weekly 編集部デスク発」

⇒バックナンバー一覧