がん検診や人間ドックは
断っても大丈夫?

 法律の上では、会社の定期健診でレントゲン検査を拒否しても、社員(労働者)自身が罰せられることはありません。しかし、会社側に「50万円以下の罰金」が科せられる可能性があり、解雇はありえることです。
 しかし、がん検診や人間ドックは任意ですから、いくら会社側から受けろと言われても受けたくなければ受ける必要はありません。

 一方、海外では、「本当に健康増進につながるのか?」を、きちんと調べようと考えた研究者たちがいました。
 大勢のボランティアを2つのグループにわけ、一方には定期健診を受けてもらい、他方には何もしないという約束をして、5~10年間、経過観察をしたのです。同じ目的の調査は多数行われましたが、いずれも担当した研究者自身も驚くような結果でした。なんと、

「定期健診を受けていた人たちのほうが、寿命が有意に短い!」

 ということがわかったのです。正確な理由は不明ですが、検査を繰り返し受けているうちには、些細な異常(?)がたくさん見つかり、その都度、精密検査を受けさせられ、不要なクスリを飲まされ、ときには手術まで受けさせられ……、と過剰医療の弊害で寿命が短くなってしまうのではないか、と僕は考えています。