反論も議論を深めるきっかけに

「アクティブ リスニング」では、相手の話に耳を傾け、相手が話しやすく感じてもらうのが基本だといいましたが、時として反論することもあります。それは、議論を深め、相手にも新たな気づきや発見を感じてもらうためです。
 そのためのフレーズはこんな感じです。

「○○さん、おっしゃることはとてもよくわかります。ただ、私が思うに……」
→ 相手の発言を否定することで緊張感を高める

「あれ? それは普通~ということではないですか?」
→ ~の部分であえて間違ったことや議論の余地のあることに言及し、議論を深める

「私自身としては少し違和感を覚えるのですが……」
→ 「違和感」は否定的ニュアンスをオブラートに包んで伝えるのに便利

「私だったら、そこでは~と考えますね/~と言いますね」
→ 否定を一歩進め、自分ならどう考えるか、どうするかを伝える

「ちょっと確認したいんですが……/間違っているかもしれませんが……」
→ いきなり相手を否定するのではなく、ワンクッションを置く

「個人的には理解できるのですが、組織としてはどうなのでしょうか?」
→ 相手に一定の理解を示しながら、角度を変えて否定する

「業界としてどう一般消費者と向き合っていくかという視点が求められていると思うのですが……」
→ 消費者のため、地域のため、日本のためなど大きな視野から発言する


 皆さんもご自分の経験からやコミュニケーション上手な人を観察したりして、「これは使える」と思ったフレーズがあったらメモしておくといいでしょう。
 自分らしいフレーズを駆使できるようになれば、コミュニケーションがどんどん楽しくなっていくはずです。

「アクティブ リスニング」には、あなたのコミュニケーションを劇的に改善するヒントがいろいろあります。
 次回もまたその一部をご紹介します。

いつも「聞き役」だった人が<br />「やり取り上手」に変身する<br />魔法のフレーズとは?

谷本有香(たにもと・ゆか)
経済キャスター/ジャーナリスト/コメンテーター
大学卒業後、山一證券に入社、社内の経済キャスターに抜擢されるが、会社が自主廃業となり、フリーランスキャスターの道に。フリーの世界で仕事をさせて頂くために、試行錯誤しながら見出したのがこの「アクティブ リスニング」。この技術に出合ってからは、十数年にわたって経済キャスターの第一線で活動し、日経CNBCでは初めての女性コメンテーターに抜擢される。トニー・ブレア元英首相、マイケル・サンデル ハーバード大教授、著名投資家のジム・ロジャーズ氏などの独占インタビューをはじめ、世界のVIPへのインタビューは1000名を超える。BloombergTV、日経CNBCなどを経て、現在はフリーで国内外の著名人インタビューや、金融・経済セミナーのモデレーター、Huffington Post、TABI LABO等でコラムなどを手掛ける。また、テレビ朝日『サンデースクランブル』ゲストコメンテーターとして不定期出演中。2015年4月から、日経 CNBC『夜エクスプレス』アンカー