ダイヤモンド社のビジネス情報サイト
inside Enterprise

印・露など新興国市場に変調
スズキが40ヵ月ぶり減産

週刊ダイヤモンド編集部
2008年10月6日
著者・コラム紹介バックナンバー

 今年に入り、多くの自動車メーカーが北米市場の急激な落ち込みに大打撃を受けている。そのなかで、北米依存率も低く大型車を持たないスズキは、5割弱のシェアを持つインドを筆頭に、新興国で右肩上がりの成長をしてきた。

 ところがついにスズキの海外戦略にもかげりが見え始めた。8月の世界生産台数が前年比八5.8%と、40ヵ月ぶりにマイナスとなったのだ。

 変調が起きているのは、主力のインド。「米国の景気後退は全世界に影響を及ぼす。インドだけ例外ということはない」と鈴木修会長は強調する。

 インドの8月の販売台数は前年比10%減となった。政府のインフレ抑制策の一環で、自動車ローンの金利が上がり、買い控えが起こっていることが要因として挙げられる。

 スズキが四輪工場の建設を予定するロシアでも、ローン金利の上昇が懸念されている。米国の金融問題に端を発して、ロシアの銀行がヨーロッパから資金調達するのが難しくなるのは時間の問題。

 ロシアでは新車購入者の約半数がローンを利用する。現在の金利は13~14%程度だが、「これから数パーセント上がり、審査も厳格化する」(関係者)。

 ロシアの自動車市場は、日系を含む外国新車の販売が好調で、2004年は約40万台だったのが07年には約165万台と、わずか3年で4倍増を記録した。しかし、今年に入って伸びは鈍化しており、特に8月は顕著だった。サンクトペテルブルクでは10~20%の伸び率にとどまったという。

 さらに、折しも先月、サンクトペテルブルク市内にあるスズキの工場建設予定地から、泥炭と呼ばれる燃えやすい土壌が見つかった。当初予定していた工場建設費140億円に、泥炭の削り取り処理で50億円以上も追加費用が必要となる模様だ。

 09年後半の稼働を発表していた新工場は、初年度は5000台、14年には3万台体制にし、輸入車と合わせてロシアで5万台を販売するための基地となるはずだった。

 鈴木会長は「計画をやめることはない。まずは年内に地質調査を終わらせる」と、工場建設の中止は否定するが、現在のところ延期期間は確定していない。

 現地では年10%前後のインフレと、労働力不足が深刻だ。稼働開始が遅れれば遅れるほど、スズキにとってはコストアップになる。

 このほか、この10月から代理店を設けて再参入するブラジルや、同社のシェアは低いが、市場の伸びが有望視される中国でも、米国不況の影響は否めない。新興国市場を得意とするスズキの実力が試されている。

(『週刊ダイヤモンド』編集部 柳澤里佳)

今週の週刊ダイヤモンド

2017年1月28日号 定価710円(税込)

特集 劇変世界を解く 新地政学

世界史の大転換が始まる

【特集2】
銀行界も戦々恐々
コンビニATM戦争

【下記のサイトからご購入いただけます】

(ストアによって販売開始のタイミングが異なるため、お取扱いがない場合がございます)

【下記のサイトからご購入いただけます】

(ストアによって販売開始のタイミングが異なるため、お取扱いがない場合がございます)

【下記のサイトからご購読いただけます】

(ストアによって販売開始のタイミングが異なるため、お取扱いがない場合がございます)

スペシャル・インフォメーションPR
クチコミ・コメント

DOL PREMIUM

PR
【デジタル変革の現場】

企業のデジタル変革
最先端レポート

先進企業が取り組むデジタル・トランスフォーメーションと、それを支えるITとは。

経営戦略最新記事» トップページを見る

最新ビジネスニュース

Reuters

注目のトピックスPR

話題の記事

週刊ダイヤモンド編集部


inside Enterprise

日々刻々、変化を続ける企業の経営環境。変化の中で各企業が模索する経営戦略とは何か?『週刊ダイヤモンド』編集部が徹底取材します。

「inside Enterprise」

⇒バックナンバー一覧