目標を細かく設定すると軌道修正が早くできる

和田 私、もともと人見知りだし、ゴリ押しの営業は嫌いなんです。佐々木さんが「伝えること」が得意じゃなかったように、私もアグレッシブにいくのは性格上できなかったのです。じゃあどのように数字を管理していたかというと、当時活用していたのが『営業手帳』なんです。

佐々木 なるほど。どのへんが“和田流”なんですか?

和田 この手帳は、お盆休みも正月も関係なく1年間を52週に区切っています。毎週毎週を月末みたいな感覚で数字を追うことで、“月末に急がなくていい数字の追い方”ができるようになります。

佐々木 ……といいますと?

和田 夏休みの宿題を前倒しする感じですね。1ヵ月が4週間だった場合、まず1週目でブレークイーブン(損益分岐点)をあげて、2週目からプロフィット(利益)を出していきます。つまり、自己経費とか、最低限自分があげなきゃいけない数字を1週目にササッとあげておいて、2週目と3週目は利益分を着実に積み上げていきます。それで4週間目はもう翌月の数字に取りかかるスピード感で営業活動をします。通常、月末締めの営業マンは、月末になると「数字が足りない!」などと大騒ぎするじゃないですか。同じ頃、私は翌月の数字を見ているので、スタートダッシュのときに既に数字があがっていることになります。

佐々木 なるほど。ちなみに、水曜日と木曜日の間に太いラインが入っている理由は何ですか?

和田 だって、人ってすぐにダレるでしょう? 月曜日に「ダルいなあ」なんて思いながら出勤して、もちろん数日は頑張るのだけど、金曜日になったらまたダレはじめる。そうやって結局1週間の間に何の成果もあげずに過ごしてしまう人が大勢いるのです。それを阻止するために1週間をこの太い線で半分に区切っています。

佐々木 普通、1週間を「一単位」と考えるところを、真ん中で区切るのはおもしろいですね。

和田 何が何でもゼロだけは避けたいので。ゼロになるくらいなら目標とする数字を下方修正してもいいのです。たとえば週初めに「今週は5本売り上げよう」と1週間分の目標を立てたとしますよね。ところが木曜の朝の段階でもしゼロ本だとしたら、「もう無理!おてあげ!」と諦めモードになります。それを避けるために、「1本でいいからやろう」という最低でもだせる数字に軌道修正します。そうすると、気持ち的に少し余裕が出て5-0だったのが、5-1になる。「もう少し頑張れるかも」と思えたなら5-2になる。細かい目標をたくさん設定すると、達成率がアップします。

佐々木 それと、この手帳は、1週間ごとに励ましのメッセージが書かれていますね。

和田 はい。「Weekの言葉」は、売れる営業に変わるためのエッセンスです。それを応援メッセージとしてお届けすることで、毎週月曜にこれを読んだ営業マンが「元気づけられる」とか「今週も頑張れそう」なんて思ってくださる。読者からの声も、「Weekの言葉」に関するものが一番多いですね。